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「君の稽古をうけた新入隊士たちや、君の話を聞いた新兵たちは、君をとても信頼している」
「そ、そうですか?」
いきなり褒められて、嬉しいというよりもびっくりした。まさか近藤さん直々にお言葉をもらう日が来るとは思ってもみなかったから
「彼らは君と共に戦って、命を助けられたと、自分の生きてる意味が分かったと、言っているらしい。
…そこで尽きるはずだった命を、君のために使いたいとも言っている」
「…え?」
それって、総司やトシたちが近藤さんに寄せる思いや、私が新選組に寄せる思いに近いものなのだろうか。
私に、命をかけたいということだろうか
「彼らは新人だ。しかし、君が教えた彼らの志は…俺たちよりも、輝いているかもしれんな」
「…そんな事…!」
「俺はな、最近思うんだ」
私が荒げた声を、彼は重い声で制した
「…仲間を殺してまで貫き通すのが、己の志か。ってな」
隙間から漏れる光が、彼の寂しそうな顔を照らしていた
困ったように、私に笑いかけた近藤さん
私はただ、それを見る事しかできなくて、自分がもどかしくて、唇を噛み締めた
その時。
__________ドゴンッ!
「ッ!?」
地響きが聞こえる。それは、大砲のような音。いや、違う。鉄砲か…?
隙間から外を見ると、そこにいたのはこの陣屋を囲む大勢の敵だった
「新政府軍…!?ど、どういう事!?」
私が入れたお茶が、こぼれていた
近藤さんはなぜか、全く動揺していなくて、敵をじっと見据えていた
「近藤さん!A!大丈夫か!?」
「トシ!何が起こってるの!?」
階段を登る音と共に、トシが血相を変えてやってきた
「新政府軍に囲まれた。裏から山に逃げるしかねぇ!俺が奴らの気をひいてるうちに、隊士と近藤さんを連れて逃げろ!」
「でもそれじゃあトシが!」
「いいから行け!時間がねぇ!」
ここで迷ってはいけないと直感で判断した。でも、トシを置いて行きたくなかった。大好きなトシ。でも彼の大声に私はひるんだ
「トシ!!」
その一瞬。彼と私のほんのわずかな会話の隙間に、大声が走った
「ここは俺に任せろ」
私もトシも、きっとすごい顔をしていた。近藤さんが笑顔でそんな事言うんだから
「何言ってんだ!!?大将のあんたがいなくなっちまったら何もかもしめぇだろうが!!」
トシは冗談を言うなと、見た事もないような勢いで近藤さんを怒鳴りつけた
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ドラごん(プロフ) - にわかさん» ありがとうございます!頑張ります! (2016年7月12日 21時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
にわか - 更新頑張って下さい応援してます! (2016年7月12日 21時) (レス) id: 273458644d (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - 睦月 雪さん» そう言っていただけて、とても嬉しいです!最近本当に忙しく疲れてしまって全く更新ができていませんでした…。一気に更新が来ると思うのでもう少々お待ちを!本当にコメント嬉しかったです。ありがとうございました (2016年5月25日 0時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 雪(プロフ) - すごく好みの作品です!読んでいて飽きないし楽しいです。更新がんばってください!楽しみにしてます! (2016年5月24日 23時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - 燐タロさん» ありがとうございます!!頑張りますねっ!! (2016年2月16日 22時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドラごん | 作成日時:2016年1月16日 11時