ルートヴィッヒ(ドイツ) ページ3
「!?どうした、どこか怪我をしたのか!?」
何をするにもやる気が出ず、自分の無力さを感じていると不意に涙が出てくることがある。
私のそんな瞬間に出くわしたのはルートヴィッヒである。
怪我をしたのかと心配してくる彼にまず首を横に振った。
迷惑をかけてしまっては、仕事に熱心な彼に悪いと思った。
なんでもないです……。
一言告げれば、放っておいてくれると思った。
けれど彼は「なんでもない……。そんなわけがないだろう。」そう言って私の隣に座った。
静かに零れる涙を見て、彼はハンカチを取り出して私に渡してきた。
ありがとうございます。
綺麗なハンカチを汚してしまったな、なんて思いながら涙を拭い、
また溢れそうになるのをぐっと堪えるようにハンカチを握りしめた。
そのまま、少し静かな時間が流れて話を切り出したのは彼だった。
「何か、不安なことでもあるのか。その……頼られるということには慣れている。俺でなくても良いが、辛いことがあったら人に話して良いんだぞ。」
話はそれだけだったけれど、私はもう一度ハンカチをぎゅっと握った。
ギルベルト・バイルシュミット(プロイセン)→←ロヴィーノ・ヴァルガス(南イタリア)
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作者名:巫女ネコ | 作成日時:2020年3月30日 16時