【文スト】死神アリス【男主】 (ページ19)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:31,150 hit

死神アリスと女医と爆弾魔Ⅲ ページ19

爆発音をBGMに、梶井がにやっと笑みを浮かべた

梶井｢ふっ、僕の勝ちだね｣

貴方｢へぇ、随分と余裕じゃねーか、梶井｣

その男に声を掛けたのは、気絶していた筈のA

梶井｢やっぱり起きてた。相変わらず、演技派だよね……と云うか、もしかして激怒してたり？｣

どうやら、Aの気絶は演技だった様だ
そして、梶井の御指摘通り、今のAはド怒り状態である

貴方｢ほー、幾ら科学馬鹿でも、空気は読めんのな。俺っちが、計画に無い事されて、怒らないとでも思った？あの放送で、探偵社の保護対象になるとかごめんなんだけど？｣

梶井｢えっ、それは大丈夫じゃない？だって、彼女は確実に『死ぬ』だろ？｣

貴方｢へぇ……じゃあ、確認して来いよ｣

Aがそう云うと、梶井は、それもそうだと乗務員室の扉に手を掛けた

梶井｢さーて、中まで火が通ったかなぁー？＿＿おっ｣

乗務員室の扉を開けた梶井の目に入ったのは、割れた車窓に、上半身を持たれ掛けている与謝野の姿

それを見た梶井は、与謝野の状態を見ようと、彼女の顔を覗き込んだ

瞬間、顔面に拳が飛んできたかと思うと、そのまま梶井は吹っ飛ばされた

与謝野｢んー、イマイチだねェ。もっと飛ぶかと｣

貴方｢与謝野さん！やはり無事でしたか！｣

Aが叫ぶと、与謝野は其方に視線をやった

与謝野｢おっ、Aじゃないか。アンタも無事だったんだねェ｣

貴方｢ええ、お陰様で｣

梶井｢はがっ……な、何故｣

与謝野は死んだものだと思っていた梶井は、呆然と二人を見る

与謝野｢あんなネズミ花火で死ぬもンか｣

そう云うと与謝野は、梶井の首に巻いてある布を掴んだ

与謝野｢あー、今殴ったのどっち側だっけ？｣

そう問われると、梶井は素直に左の頬を指差した

瞬間、今度は右の頬を殴られ、盛大に吹っ飛ぶ梶井

与謝野｢これで平等だ｣

貴方｢まって、今凄い音したんっすけど……(一寸は同情してやるよ、基くん…)｣

与謝野｢A、気にしたら負けさ｣

貴方｢あっはい｣

Aは、そこらの男よりも与謝野の方がよっぽど男前だと確信した

梶井｢そんな、先まで瀕死だった筈……｣

殴られた梶井は、信じられないというように声を出す

与謝野｢こう見えて妾は医者でね。アンタの百倍は死を見てる｣

与謝野は、梶井の目の前に立った