闇に溺れる (ページ19)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:15,772 hit

色々な想いページ19

《合格者、第1号ギタラクル！第2号A=ウォレット！所要時間は＿＿》

無機質なアナウンスが聞こえる中、

イルミとAは、誰もいない控え室のような場所に着いていた。

Aはすぐに壁に寄りかかると、ほっと息をついた。イルミも、Aの隣に腰をおろす。

「はぁ、疲れた…イルミさん、全然疲れてませんね…あんなに多くの試験があったのに…」

「そ？結構疲れたけど」

「その割には、顔色一つ変わってませんよ」

Aはそういった後、唐突な眠気に襲われた。瞼が重く感じてしまい、頷くようにコクリ、コクリと一定のリズムを刻んでしまう。

隣では、イルミが興味深そうな顔をして、Aを見つめていた。

「……」

イルミside

「……」

隣で寝てしまったAを見つめながら、試験の最中のことを思い出す。

彼女の無駄のない動きや素早さ、そして、人を倒すことに戸惑いがない精神力。

全てにおいて彼女、Aは、ゾルディック家に欲しい人材だった。

その上、あの整った容姿とくれば、うちの母さん達も反対することはまず無いだろう。

そして何より、俺自身も、Aのことを好ましくおもっていた。

Aなら、結婚してもいい。

……この試験が終わったら、うちに連れて帰ろう。

母さん達に挨拶という名の、婚約者紹介で。

きっとAは断るだろうけど、何としてでも連れて帰る。

俺はそう決意すると共に、Aの髪を一房すくい上げ、口付けた。