第32話 転校当日 ページ34
土御門島唯一の学校、青陽院。そしてここはその真新しい校舎とは少し離れた人気のない場所。
そこに、一羽の大鷹が舞い降りた。乗っていたのは、制服に身を包んだA。
Aは自分の式神である螺鈿を霊符に戻すと、歩きながら昨日の事を考えていた。
昨日、鸕宮邸から帰ってくると、自室には鸕宮家の従者がいた。
従者曰く、青陽院には寮があるので、平日はそこで泊まるのはどうかという話だった。
自分自身、その方が鸕宮家に迷惑をあまりかけずに済むし、通学時間を使ってぎりぎりまで修行ができるのではないかと考えた。
しかしそれに反対したのは、天馬様だった。
二人で話していたら急に襖を開いたと思えば、
「キツネ子はここから通う!以上!」
と声高らかに言った。
当主様の命であれば、と従者さんも寮生活を推薦するのをやめ、私はこの距離を螺鈿を使うことで、これから通学していくらしい。
校門への道に合流すると、孤島にある学校とは思えないほど生徒が多く、肩に式神を乗せている者、大きな武器を背負っている者、陰陽師に関する本を読みながら歩いている者と、それぞれ個性のある生徒がそこには集っていた。
そんな生徒の波に流されるようにいそいそと歩いていると、唯一、自分の知っている顔を捉えた。
「……焔魔堂さん!」
「うぉ、Aじゃん!なんだ、お前もここに通うのか!?;」
「はい!今日が転校初日です。改めてよろしくお願いします!」
「おぅ!俺からもよろしくな!ー」
そうしていくつか言葉を交わした後、Aはクラス分けテストがあったので、理事長室に向かった。
理事長室に入ると、理事長である有馬と校長である十二天将である嗎新が迎えてくれた。
有馬が踊り子のような姿で迎えた時は思わず部屋から逃げてしまったが、Aはなんとか落ち着きを取り戻し、理事長室での説明を聞き始めた。
「やあ☆待ってたよ〜Aちゃん☆こちら理事長の僕と、校長の嗎新くんでーす☆」
「有馬たんから話は聞いているぞ。よろしく頼む、Aたん。」
「Aたん………?」
突如として呼ばれた"たん"呼びにAは戸惑う、今日初めて出会った嗎新は、出会った時の天馬への印象と同じく、何を考えているのかわからない人だった。
「本題に入ろう。わかっていると思うが、Aたんがここで妖刀を使用することは禁止だ。」
「はい、わかっています。」
「私からはそれ以上だ。有馬たん、何かあるか?」
「そうだねぇ……。」
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時