第13話 砂浜での覚悟 ページ15
砂の上に腰をつくと、手に触れた砂がさらさらと手を包み込んだ。
隣には天馬さんが腰を下ろす。
砂浜から空を見上げると、さっき見たように煌びやかな星空が島中を照らしていた。
「…………………すみませんでした。拾って頂いた身なのに、迷惑をかけてばかりで……。」
やっとの想いで口から出たのは、そんな言葉だった。
そんなこと言ったって何が変わるというんだ。自分はもうなにもかも遅すぎる。
気づくのも、動き始めるのも……………………覚悟を決めるのも。
後悔の念は膨らむばかりで、自分の事が嫌で、嫌で、たまらなかった。
座りながら頭を腕の中に埋める。
「そうだな。お前の守護者が"宇迦之御魂"じゃなかったり、妖刀の使い手じゃなかったら、間違いなく切り捨てられたな。おまけに不法侵入だしなぁ。んん?」
「そうですよね…………。」
そりゃ目障りになるわけだ。
そういえば、私を引き取ったこの「鸕宮家」は、予想をはるかに上回るほど規模の大きい家だった。
そんな良い家柄に引き取られたのにも関わらず、自分は自ら家を出たのだ。
「本当に……………………馬鹿すぎる。死ねばいいレベルで。」
そんなAをちらりと見ると、天馬は急に神妙な顔つきになった。
「……………俺は、お前に強要はしない。お前が嫌なら、本土に帰ってもいいと思ってる。
有馬はああ言っているが、嫌がっている人間を戦場に送るのは無駄な死体を増やすだけだ。」
Aはそう言われると、脳裏にある光景が浮かんだ。
それは、捨てられた自分を育ててくれた、「おばあちゃん」の姿。
おばあちゃんの本当の家族は、ケガレに殺された。
おばあちゃんの元に帰ってきた家族の姿は、呪力を奪われ炭のように干からびていた。
おばあちゃんのその話を聞いたのは、おばあちゃんが亡くなるその時だった。
育ててくれた恩を返すため。おばあちゃんの亡くなった家族に精一杯の弔いをするため。
私は……………………こんな所で、くじけるわけには、いかない!!!!
「……………やります。やらせて下さい。誰よりも強くなります………………、誰よりも努力します………………だから、どうか、私に"戦い方"を教えてください。こんなことして、受け入れるなんて甘いことは思っていません……………けど、もう二度、逃げません………から!!!!」
天馬の目を真っ直ぐに見るAの目には迷いが一切なかった。
覚悟を決めたのだ。今度こそ。死ぬ覚悟で。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時