第17話 天馬のいない時間 ページ19
稽古をつけてもらった後天馬様は、陰陽連からの呼び出しで本部へと向かった。
またしても一人になったAは、呪装の修行を再開した。
しかし、既にコツを掴んでいたAは才能を開花させ、数時間後には6つの連装を成功させた。
呪力が切れた後は剣術を鍛えるために、先程の戦いを思い出しながら剣を振るう。
一人でそんな事をしているうちに日も暮れ、鸕宮家の女中らしき人が夕食の支度が終わったと、声をかけてくれた。
夕食を食べた後には勉強を始め、陰陽師の歴史や技についての書物を片っ端から読み進めて頭に入れる。勉強を未だかつてないほどしている気がする。
「ふう…………………疲れたぁ…………。」
そう言い時間を見ると、既に11時を過ぎている。
そろそろ寝なければいけないと布団に入ったが、やはりどこか恐ろしくて寝れる気がしない。
もぞもぞと寝返りを打っていると余計目が覚め、これは今日は眠れないだろう、と直感した。
仕方なく机に戻り、ろうそくを一本だけつけて勉強を再開させる。
これならまだ他の人も気づかないだろうっと思った。
数十分後、Aの部屋の襖がカタ……、と開く。
「キツネ子ぉ、お前、なんでまだ寝てない………。んん?」
「て、天馬様………!?どうされたのですか………?」
「お前なあ………………………………寝ろよ!!」
「は、はいぃっ!!!」
そう言われるとAは布団に飛び込む。すると天馬は布団から一番近い壁に腰を降ろす。
「え、何をしてらっしゃるのですか………?」
「んん?いてやってるんだろうが、どうせ寝れなかったんだろ。」
ふう、とこちらを見る天馬様の表情は和らいでいたが、少し疲れている感じがした。
ということは、天馬様は疲れているのにわざわざ砂浜でのことを守ってくれているのだ。
これは頭が下がるな………………
そう思い、天馬の方を見る。
すると天馬は本当に疲れていたのか、既に寝息をたて、壁にもたれかかりながら眠っていた。
Aは布団から音を立てないように起き上がり、自分の掛け布団のうちの一枚を寝ている天馬にそっとかけた。
「いつもありがとうございます。天馬様………………。良い夢を見てくださいね……。」
そう小さく呟くと、Aは布団に戻る。
今日は、眠れそうだった。こんなにも、気が安らぐのだから。
Aはゆっくりと目を閉じる。
そして朝まで、目覚めることはなかった。
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時