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第10話 家出 ページ12

気がつくとただ走っていた。

天馬から狩衣を貰い、呼ばれたはいいが、呼び出された先は訓練場だった。
呪装のやり方などを天馬以外の鸕宮家の人間から教わったが覚えが悪く、

「これだから本土の奴は…………………。」

とため息混じりに言われた。
天馬はその日、禍野での任務があったらしく、訓練場へ案内した後はそちらへ行ってしまった。

結局その日は、呪装も結局完成させられず、床についた。

1日目、2日目はほぼ気絶状態で眠ったから良いのだが、
実は、Aには何よりも怖いものがあった。


それは、静かな夜。皆が寝静まった夜。
なぜ怖いのかは分からない。祖母は「捨てられた日が風の音一つしない夜だったから。」と
考えていた。

怖くて、怖くて、Aは布団に潜り込む。

静かなのは、嫌いだ。自分がひとりぼっちみたいに感じるから。

そうして眠れない夜が明けると、また修行が始まる。

天馬はまだ禍野から帰ってきてないらしい。


そして事件は起きた。


修行の時、周りの人間達の声が聞こえたのだ。

「あいつか、妖刀を使ってウチの人間に手ぇ出した奴は。」
「本土からの不法侵入者らしい。道理で弱そうな奴だ。おまけに才能もない。」
「身一つでここまで来たってことは、家族はどうしたんだよ。」
「どうせ捨てられたか、捨ててきたんじゃなえの。いやきっと、誰にも愛されず捨てられて此処に来たんだろう。」


その一言が事実だった故に、Aはどうしようもない怒りと悲しみを覚えた。

何故…………何故、神様は、私をここまで突き放すの……………?


そう思い、修行が終わると、Aは反射的に荷物を持って、門の外へ駆け出していた。


土御門島のメインストリートまで走ってくると、息をどうにか整えて、歩き出す。
ここを歩く人たちはどの人も笑っていて、ストリート全体が笑顔に包まれていた。

けどそこは私の居場所ではない。きっと、似合わない。


「………………………あれ?Aじゃん!!」

懐かしい声が聞こえ、後ろを振り向くと、

「焔魔堂さん……………………!」

そこにはAの恩人、焔魔堂ろくろが立っていた。

「つかどうしたんだよA。なんでそんな悲しそうな顔、してんだよ…………。」

ろくろにそう言われた時、Aは全てを吐き出したい気持ちになった。
けれど、自分にそんな資格は無いと思い、胸の奥に押し込んだ。

「とりあえず、ウチに来ねえか?」

Aは、頷いた。

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設定タグ:双星の陰陽師 , 鸕宮天馬 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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あとり - ありがとうございます!大変遅くなりましたが更新させていただきました! (2018年2月13日 0時) (レス) id: ce2f790ea1 (このIDを非表示/違反報告)
(* ´ ▽ ` *) - 続きはまだですか?とても面白いので、更新頑張ってください! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 18290c3fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ちっち - あとりさんこの小説大好きなので、頑張って更新してください! (2017年12月29日 9時) (レス) id: d069e4a0a4 (このIDを非表示/違反報告)
あとり - 夜実さん、すみませんでした!ご指摘ありがとうございます!気をつけます! (2017年3月30日 0時) (レス) id: 493c050031 (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 47なのに46になってますよ〜(このコメント消していいです) (2017年3月29日 23時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2017年2月17日 7時

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