“しかく”の向こうに君がいる (ページ20)

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19 《Kaito.N side》ページ20

はぁ…

好きな人の前で涙ぐむなんてかっこ悪い。
ほんとに弱いな、俺って…

俺は合わせる顔が無くて机に突っ伏したまま。

『こういう一面も見せてくださいね、これから。』

A…？

敬語になっちゃってるけど可愛いからそのままにしとこ。

『かっこ悪いなんて思いませんから。我慢しすぎないでください。』

｢…ごめん。ほんとにごめ…｣
『謝るの禁止です！』

｢…ありがとう、A。｣

エスパーかよ。。

『…なんか、凄い急ですよね、出会ってから。』

｢いなくなっちゃうと思ったから…｣

何言ってんだろ、自分。でもなんだか安心して話してしまう。

多分お酒のせいじゃないけど、ふわふわする。

『いなくなりませんよ。あなたを信じようって、思ってます。』

｢…泣かせる気？｣

『…いや、もう泣いてるじゃないですか。』

バレてたのか。

｢…ごめんなさい。｣

『謝るの禁止ですってば。笑笑』

アンタも敬語、使ってるよ…なんて言い返せずに。

お店では、お開きの空気が流れている。この時間がずっと続いて欲しい。

｢…帰っちゃうよね｣

『…まぁそうですね』

｢寂しい。｣

『…。』

応答が無くて、不安になって、Aの顔を見る。

目が合った。

『も～目が赤くなってますよ、ほらもう元気だして！笑笑』

君の笑顔見てたら余計泣けてきたよ。

『えっ！なんで泣くんですか？！ちょっと！』

焦ってる君が可愛い。

色んな表情見せて、僕だけに。君を独り占めしたい。

｢へへっ｣

今度こそ独り占めさせてよ。

なんて言える男じゃない。君が優しく僕の涙を拭いてくれた。

好きが溢れて、止まらない、止められないよ。