“しかく”の向こうに君がいる (ページ14)

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『私、鈍感じゃ、ないです、からね。。』

自分の口からこんな言葉が出ると思わなかった。

彼が少し黙ってから、こういった。

｢今日のリップ、可愛いですね？｣

『あ、これは…』

思い出した。これ、元カレがくれたやつだ…
と言ってもかなり前だけど、、

動揺が隠しきれない。

｢男から貰ったやつですか｣

エスパーですか、いや、なんて返そう。
嘘をつくしか…

『え、いや、えっと…』

｢バレバレです笑笑、彼氏いるんですか？｣

『いや、いないです！』

｢…今は彼氏はいないけど、昔はいたんですね？｣

なんで分かったんだろ…私はコクリと頷く。

｢答える速さでバレバレです。可愛いですね。ほんと。｣

照れるな…

いや、待って、アイドルとこういう話していいんだろうか？！

か、可愛いですね？？

彼の顔を覗く。

少し意地悪な笑顔をしている。

｢僕も…可愛いなんて、他の人に言いませんから。｣

『…っ』

えっと…そういうことです？よね？

｢…そういうことですよ｣

そういうと中村くんは、自分の人差し指を自分の唇に当てて、ニコッと微笑む。

そして、その指が私の唇に触れる。

｢内緒です｣

彼は甘い声で囁いた。

神様、どうかこれが夢でありませんように。
神様、彼の気持ちが嘘じゃ…ありませんように…。