“しかく”の向こうに君がいる (ページ13)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:70,022 hit

12 《Kaito.N side》ページ13

待ってよ、こんなにすぐに会えちゃうものなのかな。

心の準備が…。

Aさんの目が僕の目を…
｢(やっば、逸らしちゃった。)｣

Aさんが少ししょんぼりした気がした。

｢(やばい、凹ませちゃったかな…)｣

撮影は順調に進む。Travis Japanらしいし、なんと言ってもメンバーの特色を上手くCMの中に組み込んでるのが凄い。

僕のソロカット。

監督の隣にAさんがいた。ニコニコしてる。

なんだか、その笑顔を見てると、他の表情も見てみたい…なんて…いや、

集中しろ…自分…。

にしても理性は勝てないもので。

撮影の合間、声をかけてみた。
いや、かけてしまった、の方が正しいか。

もう、これは衝動的、感情的、本能的に。

こんなの自分らしくないけど。。

_

｢お疲れ様です｣

『え、あぁ！お疲れ様です！いいのが撮れました！

…今日もかっこよかったですよ！』

｢｣

ちょっと黙り込んでしまった。

『？』

｢Aさん、、｣

『はい？』

｢そういうの、簡単に言っちゃダメです。｣

『あ、ご、ごめんなさい…』

あ、Aさんってもしかして鈍感？

｢違います｣

『？？？？？？？』

やっぱり、、

Aさん、戸惑ってる。

｢他の人にも、かっこいいって言わないでください。｣

『…。』

意地悪だけど返事を待ってみた。

『…分かりました。いいですよ。』

なんかあっさりだな。

Aさんの、口がゆっくり言葉を紡ぐ。

その口にはうっすらピンクのリップが塗られていた。

『たくさん、かっこいいって言ってあげます。
言って欲しいってことですよね？』

｢？！｣

してやられたり。

『私、鈍感じゃ、ないです、からね。。』

少し上目遣いでAさんはそう言った。

鈍感なのは僕だった。。？