僕の名前を言ってご覧。【呪術廻戦】【男主】 (ページ32)

今日:3 hit、昨日:10 hit、合計:24,276 hit

ページページ32

その結界に手を触れながらぐるりと1周。

1番柔らかい部分を探し、多分ここだろうと、

掴んだ。

ぐい、と引っ張る

ベールを剥がすように結界が剥がれていく。

「なるほど。大抵の事はイメージで何とかなるのか……じゃあ」

今度はこの雁字搦めを叩き切ろう。

「太刀の方……練習がてら振ろう丁度いいよね」

多分この糸達も"呪い"だ。
社の中に一際強い光が見える。

きっと光は悠仁君の欠片。
この呪いは……

「悠仁くんに、ずーっと固執してる人達。まぁ要は高専関係者……かな」

太刀を抜いて構えれば笑みが溢れる。

「悠仁くんに絡まる執着。僕がその形を叩ききってあげる」

最近ずっとモヤモヤしてたんだ。

宿儺君もきっと気付いてた。

悠仁くん。悠仁くん。

僕の悠仁くん。

「ふひっ!」

振り下ろされた刃は真っ直ぐ糸を切る。

紙みたいに切れろ。

すっぱり、さっぱり、後味よく。

パラパラと糸が切れていく。なのに……

「かった……」

真っ白な縄と黒い縄。

こいつらが……

「じゃま……っ!!」

にかい、3回。

振り下ろす度に刀に籠る呪力が多くなっていく。

なのに……

「ボロボロになるだけ……って、なんでこんなに強いのさ!!」

あーヤダヤダ。
いい大人が変に執着しちゃって。

「いいかげん若いのに譲れよ……なぁっ!!!」

右足とともに大上段から真っ直ぐ振り下ろす。

ざしゅっ!!

音を立てて二本は地に落ちた。

「ふ、ふふっ!!執着した人間が宿る刀で切られる心境……」

最悪だろうなぁ♡

少しずつ歪んでいたものが溢れていく。

「違う。僕のこれは執着じゃない……」

否定する。

僕は……何か一つを求めるなんてしないんだ。

だって求めたら消えちゃうんだもの……

「非日常を僕に。ね?悠仁くん達……」

やっとその寂れた姿を表した社を開く。
こじんまりとした中の空洞に入っていたのは

「オレンジ……?」

橙色の瞳だった。