ページ ページ3
ドアを開けて部屋に入って。
家の中なのに不思議な風が吹いてくる。
その方向は押し入れ。
「あれ……ここに入ってるのって……」
そこは確かお父さんの持っている聖柄の刀と、お母さんの持っている嫁入り道具の小太刀。
それと………
「ひい爺ちゃん家から貰った……俺の太刀と脇差が……」
クローゼットを開いて俺の2振りを手に取った。
ずっしり重い……研げばホントに切れるんだって。
部屋に持ってって袋から出す。
「ねぇ、声掛けたのって、君ら?」
鉄の塊に話しかけてみるけどやっぱり何も起きない。
気のせいだった?
少し気落ちしながら刀を仕舞おうとしたその時、
「後ろだ」
「?!」
再び声。
勢い良く振り返ったソコには黒いぐちゃぐちゃ。
スライムのような、ヘドロのような。
視認した瞬間、その塊の至る所に目が開く。
ぐわっ、と見開かれたそれはいっせいに僕を見つめる。
「きも……っ」
スゴい……。めっちゃ臭い……
けどこれって……
「人じゃない……普通じゃない………!」
背中をぞくぞくとした興奮が走った。
「さぁ、その気持ちを込めろ。そしてこやつを切るのだ」
鞘から抜き、両手でぐっと柄を握りしめる。
全身の力が手に籠るみたいな心地。
重い。
重くて熱い。
口角が上がって汗が吹き出る。
「すっげぇ………これだよ……これ!!!」
そのまま黒い物体に振り下ろす。
グチャっとした感触と手にかかった液体。
生暖かくて現実だって語りかけてくる。
「素晴らしいなぁ……恐怖を感じながら尚楽しいと考えるか……」
僕が切ったこいつは霧みたいに霧散して、代わりに僕の背中を何かが押した。
「わわっ」
「良い良い、振り返り俺を視認しろ。許す」
なんて古風で偉そうな喋り方……
「……っ!!」
黒い霧が浮かんでた。
思ってたような異形や美形は居らず、ただ。黒い霧が浮かんでいた。
「はぇ………やっぱ現実は小説のように行かんのね……」
「何を言っているかさっぱりだ」
「そーぉ?まぁ気にしなくていいよ。ンデサ、君何?妖怪?」
「ふむ。では少し話してやろう」
黒い霧が地面にくっついた。
つられて僕も座る。
低い声が部屋へと響きはじめる
92人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しいさん(プロフ) - 紫雲さん» やったぜ!ありがとうございます!!! (2021年2月11日 17時) (レス) id: 2c34af32f0 (このIDを非表示/違反報告)
紫雲(プロフ) - しいさんさん» えらいえらい。頑張れ!|ω・)ノ (2021年2月11日 16時) (レス) id: a18463f7a8 (このIDを非表示/違反報告)
しいさん(プロフ) - いっぱい更新してみたよ。褒めて褒めて。。。 (2021年2月11日 14時) (レス) id: 2c34af32f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しいさん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homupe2019/
作成日時:2021年1月22日 21時