隣は隣でも (ページ19)

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「あ！風さん！」

弁当箱片手に持って手をぶんぶん振る拓哉。

「拓哉ー。先行っとるなからなー」

「ほなまたな拓哉ー！」

「またね」

「あ、俺も先行っとるね」

こたちゃんが気を利かせて2人きりにしてくれた。

「おい拓哉。どういうことやねん。」

「どういうことって…なにが？」

訳も分からずぽかんとしている拓哉にむしゃくしゃした。

「お前も知っとるやろ。俺の好きな人くらい」

そう言うと「あっ…」と焦り、思い出したみたいだった。

「ごめん、イツメンで集まれる機会ってそんなないから」

拓哉の悲しそうな顔を見てはっと我に返った。

なに責めてるんや
友達なんやから一緒に食べて当然のことやん。

なのに俺……

なにしてるんや、

「……俺こそごめん、拓哉は何も悪ないで。」

「いやっ、風さんこそ何も悪くないから謝らんで」

「お前、ええやつやなほんま」

「当たり前やろ笑」なんて拓哉がふざけるから2人して笑いあった。

帰り際、拓哉がやっぱ申し訳ないしお詫びにいいこと教えたると耳打ちをしてきた。

その内容を聞いた僕はこのチャンスを逃す訳にはいかないので、さっそく行動に移すことにした。