Lilな恋でもAぇじゃないか (ページ10)

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人に大丈夫？と言われるほど涙は溢れてくるもので

「大丈夫です」なんて言っても説得力がない。

変に悪目立ちしそうでここから逃げ出したい。
そう思っていた私の心を読んだかのような行動をとった彪太郎。

一瞬なにが起きたのか分からなかった。

でも伝わる鼓動で嫌でも自覚させられる。

「こ、たろう」

「大丈夫。もう少しこのままでいよっか。」

顔は見えなくても彼の優しさが心に染み、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

はたから見てハグしてるように見えないような上手い抱きしめ方をする彪太郎。

彼の咄嗟の行動にどれだけ救われたか。

「彪太郎、ありがとう」

「ん、もう平気？」

「うん。」

「よかった。無理せんで俺を頼りや」

一人称が僕の彼が今…俺と言った。

なんだかとても頼もしくて男らしくて

また彪太郎を好きなった瞬間だった。

時はすぎ劇の練習へと入る。

みんなに台本が配られざっと目を通すと(キスシーン)と書いてあったのだ。

白雪姫にそのシーンがあるのは存じ上げているが本当にやるのか不安だった。

先生に聞いてみるとここは本当にやってもいいし、やらなくてもいいようでなんだか安心したような気もした。