片言少女は彼の片割れ (ページ7)

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少女ページ7

廃墟の中。ソファーに腰掛けるふたつの影。

青年の膝に正面から座る少女。
そんな少女を愛おしげに見つめる青年。

『ワタシ、成長できてる。フェイのおかげ。フェイ好き』
｢強くなてくA、ワタシも好きよ｣

現在青年と少女。

小さい頃からの習慣で手を繋いだり一緒に風呂に入ったり一緒に寝たり勉強したり。

まるで兄弟のように育って来た2人。

しかし傍から見ればそれは恋人の様でもあった。

しかし実際は人間のように甘い恋人ではなく、動物のようにお互いを庇護し合う……そんな番のような関係。

そう。二人の関係を言語化するなら

〖番〗

だろう。

今現在、アジトと呼ぶ廃墟にいるのは2人のみ。
その時間を堪能するように二人はお互いの体温を感じていた。

｢A｣
『ぁい?』

キョトン?と大きな目をまぁるく開く。

｢ワタシ達、幻影旅団て言う盗賊団作ることになたよ。メンバーは何時もの9人｣
『げんえいりょだん?』

Aの首に手を這わせながらフェイタンが言った。
オウム返しするAはなんの事かわかっていない様子だがフェイタンは気にしていない。

｢そう。Aは……｣
『ワタシはフェイの分身よ。どんなとこでもいしょね』

食い気味なAの返答。
予想していたのかフェイタンは嬉しそうに頬を緩めた。

｢いしょ。そね。Aはワタシよ。ワタシとお前、イコールね。｣
『いしょ。いしょ!』

キャッキャとはしゃぎフェイタンの頭を抱えるように抱きしめた。

｢だからA、強くなるよ。ワタシと同じくらい、強く｣
『ぁい!強くなるよ!A、フェイみたいに早く!』
｢修行開始よ｣
『あぃ!!』

無知な塊は少女になり、自身の分身のように強くなることを決めた。

そんな記念すべき日の記憶。

ここまでがプロローグ。

ここからがワタシの物語。
一緒に歩いていく、そんな日々の物語。