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『フェイ、お酒注ぐか？』
｢別にらぱのみで……｣
『ワタシ用意するね』
フェイの言葉を聴かずに備え付けの棚へと走りよっていく。
そして冷凍庫から氷を二個取り出しコップに入れて戻って来た。
『どれから飲む？』
｢……ん｣
差し出された酒瓶を器用にあけ告ぐ。
濃い黄色がグラスへ並々と注がれていく。
『できた』
｢……｣
無言で一気に飲み干し促すようにグラスを差し出した。
Aはそれに喜んで注ぎ、じっと見つめた。
同じく一気に飲み干すのかと思いきや、途中でAの視線に気づき止った。
｢飲むか？｣
『いいか？歳、足りないかもね。』
｢ワタシ達がいまさらそんなの気にしてどうするか。｣
ほら。と差し出された飲みかけのお酒。
受け取ってグイ。
喉を通っていく熱。舌に広がる少しの辛さと鼻に抜ける独特のアルコール。
『おもてたよりまずくないよ』
｢気にいたか？｣
『そね。気にいたよ』
｢いよ。いしょに飲むね｣
二人は笑みを交し合い酒を酌み交わした。
そしてAがなれないお酒でべろべろになったころ。
｢A、今のうちに刺青やるね｣
『ふふ……いぇずみぃ？』
フェイタンの膝に座り正面からとろけるような視線を投げているA。
にへらぁと笑いながらいいよぉ、と何も分かってない声で言う。
｢足出すね。｣
言われたとおりスリット部分から左の太ももが見えるように出した。
その際後ろの机に手をかけ背をそらせることでスペースを確保したようだ。
｢動くな｣
『ぁい』
フェイタンの手がAの太ももを撫でた。
そっと触れ、そのくすぐったさにまた笑う。
ヴィー。
無機質な機械の音。
それが肌に傷をつけ始めた。
『ぅ……』
｢痛いか？｣
『くすぐたい……Aは痛みかじないよ』
｢あぁ……鈍感だたね｣
『そね……けど…これは…』
Aの言葉の端々で息が上がっているのを察し、手元はそのままに顔をあげる。
そこには
『っは……』
酒と羞恥とくすぐったさで目を潤ませ高揚しているAの顔。
｢……見なきゃよかたね｣
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作者名：しいさん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homupe2019/
作成日時：2021年4月4日 9時
