片言少女は彼の片割れ (ページ33)

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｢やと帰てきたか。どこいてたね｣

頭を乾かしたのか、上半身裸のフェイが丁度顔を出したところだった。

『ふぇい……ワタシ…さびしかた』

思わず口を吐いたのは先ほど知ったばかりの言葉。

｢？！｣
『マチのとこいていれずみやてたのしてる。けど……この部屋、とてもさむかたよ……』
｢たたすじかんね。ワタシかえて来るのもわかてたね。｣

でも。でも。

何かを伝えたいのになかなか言葉がまとまらない。
だめだ、伝えられない。

ぱくぱくと開閉する口。
見かねたのかフェイはそのままの格好でワタシを抱きしめた。

｢そなでよく試験行くいたね。試験、短くてよかよ。｣
『？！しらなかたよ？！……無理かも』
｢まだまだ餓鬼ね｣

自分より少し大きいだけのフェイ。
鼻で笑われてちょっとだけむくれる。

『フェイだけよ。みなのまえではふつね。』
｢そか？｣
『もう！』

にやにやと子ども扱い。
ちぇ。

なのに
ぎゅ。とする手が強くなった。

｢痛くしないのはなれないね。慣れないことして疲れたよ。早く寝るね｣
『あい』

一緒に入った布団はあったかくて、抱きしめてくれるフェイも居て

『どしよ。フェイ』
｢なんね｣

背中に話しかければ返事が返ってきた。
コソコソと内緒の話をするみたいに

『ワタシ、フェイいしょじゃないと寝れないね』
｢……そか｣

やってきた眠気に身を預ける直前

｢ワタシもよ｣

そう聞こえた気がした。