片言少女は彼の片割れ (ページ16)

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シャルと手を繋ぎ隣のビルへと入った。
おふぃす?が入っているビルなので比較的楽に侵入できるのだ。

そして屋上まで。

｢うーん。やっぱちょっと距離あるか……｣
『大丈夫ね!これ使うよ』

ゆったりとしたパーカーの内側から取り出したのは太めの縄。
先には三股のかぎ針が付いていて

『ちょと離れて』
｢はいはい｣

かぎ針の方を回しながら勢いをつけ……

『ふっ!!!』

向こうの屋上に引っ掛けた。
向こうの手すりに上手いこと回って絡みつき引っ張って更にくい込ませた。

ぶっちゃけ一瞬持てばいいのでそんなに強度は必要ないが。

そして手元にある方を同じく手すりのパイプに締める。

『これあればシャルもワタシもよゆ?』
｢うん。十分だよ｣

にこりと笑って撫でてくれた。
フェイより暖かい手が気持ちいい。

｢よし、いこっか｣

言うやいなやシャルは屋上から飛び出し、縄に片足を着地。そして飛ぶ。

『おぉ～』
｢ふふ。さ、Aもおいで｣
『ぁい』

ワタシも飛んだ。
シャルより小さいから3回ほど縄を使ったが、側転の応用で手も使ったので落ちなかった。

『よ、ゆー!』
｢うん!上手に出来たね｣

さて、とシャルは下を覗き込む。

同時に

ぱぱぱぱっ!!!と言う破裂音。怒声、悲鳴。

｢あ、タイミングバッチリだった。少ししたら中に入るよ｣
『ぁい!』

これは2人が起こしている騒ぎらしい。

このぱぱぱぱっとなっている音はなんだろう?

｢A、行くよ｣

30秒ほどした時、階段の扉を開け中へ突入した。

｢しっかり纏しててね。それだけでも怪我を防げるから防げるから｣
『ぁい』

さっきから返事しかしてない……

階段を駆け下りていると平べったい手すりが目に入った。

『シャル、少し試したいね。いいか?』
｢ん?別にいいけど……なにを?｣
『これ。』

手すりに飛び乗って靴裏で滑っていく。
これは早いし楽だ

｢成程!俺もやろーっと｣

踊り場に出た時は飛び降りてまた乗って。