初仕事 ページ15
『ね、フェイ』
｢なんね｣
体を包む暖かい腕。
持ち主に話しかければいつも通りの反応が返ってきた。
『ワタシ、成長してる?』
｢確実に。してるね｣
『フェイに近づいてる?』
｢ワタシが教えてる。あたりまえ｣
ん。
よかった
日が沈み出す頃。
アジトの中は少し騒がしかった。
｢A、これ着るね｣
『これなにか?』
ゆるゆるとした服を渡される。
見覚えがない……
｢これはパーカー。これがフード。血が目に入ると危ないからねしっかりフード被ってね｣
腕を通して着て、シャルがフードをかぶせた。
｢ほれ。マスク｣
『ますく……』
｢まだ弱いからな。顔バレは避けたいだろ｣
マスクもシャルが着けてくれる。
けどフードの中で髪がモサモサして痒い……
｢……｣
『わ』
後ろから抱えられ、フェイの膝に座った。
フードが外され伸びた茶色の髪が纏められた。
｢流石に手際いいね｣
｢これくらい簡単ね｣
｢髪伸びたな……｣
『髪どうなた?』
｢結んだ。これで邪魔ないね｣
ぽん。ともう一度フードを被せられた
｢気にしなくていいね。さ。行くよ｣
｢初仕事。しっかり成功させようね｣
｢心配いらねぇよ。フォローはしてやる｣
これ以上と無い安心感。
『ワタシ、頑張るよ』
ここまでお膳立てされたんだし、確実に成功させる。
貰った車でしばらく走って、着いたのは大きな建物。
『おっき……』
｢流星街の周りだと、これ位の少ないね｣
｢なるほど。Aはあんま遠く行かねぇもんな｣
｢正確には行ってるけど何時もフェイが何処かで待たせてるからね｣
｢過保護か｣
会話にひと段落着いたところで。
｢よし。じゃあ侵入経路のおさらいだよ。入るのは屋上の階段。俺とAはそこから降りていく。フェイとフィンは正面から入ってのデコイ。回収でき次第火事用のスプリンクラーを起動させて合図。そしたら離脱して正面から三つ隣のビル、裏口の車で合流。OK?｣
『ぁい!!』
｢おう｣
｢問題ないね｣
じゃあ
｢｢｢『かいし!』｣｣｣
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作者名：しいさん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/homupe2019/
作成日時：2021年4月4日 9時
