Küsse dich 6/24記 ページ22
長い夢の中にいるような気持ちのままで、澪はふと目を覚ました。カーテンが風をはらんで膨らみながら揺れている。少し欠けた満月に照らされた、知らないインテリアと天井。置き時計が01:37を主張する。
彼は足元へ雑に揃えられたスリッパをつっかけるとふらりと立ち上がった。パーカーから靴下まで、ミヒャエルの家に遊びに来たときのままの格好だ。一緒に夕飯を食べて、一人暮らしにはやたら大きいテレビでゲームをして、……最近仕事が多かったから、疲れにそのまま眠ってしまったのだろう。それでミヒャエルが寝室まで運んでくれたらしい。
冷えたドアノブを握るとドアが静かに開いた。明かりの漏れている部屋もない、暗い廊下だ。
「ミヒャ?」
リビングを覗きこむと、ソファから滑り落ちた毛布が見えた。ローテーブルには二つのコントローラーと、増えた空き缶と頭痛薬か何かの瓶。そしてその向こうに、ベランダのフェンスへ肘をついたミヒャエルの後ろ姿がある。追いかけるようにベランダへ出、後ろ手に窓を閉めた所で、ミヒャエルはようやく少し振り向いた。
「ア、起きたんダ。おはよウ」
インナーカラーのビビッドピンクが夜空に眩しく冴えている。
「僕、もしかして寝落ちした?」
「起こしても起きないんだもン。勝手に運んじゃっタ」いつも吸っている黒い煙草。オレンジの光から白い煙が昇って消えていく。「俺、寝室に人入れたことないんだけどネ」
「ミヒャはソファで寝てたの?」
「ン、そんな感じ。お酒で眠剤飲んだんだけど起きちゃっテ。飲み直したから眠くなるの待ってんノ」
そう笑うとミヒャエルはまた煙草を深く吸い、空に向かって煙を吐き出した。ガラスの灰皿は中身を捨ててから持ち出したのだろうが、短くなった吸い殻が既に何本も入っている。普段と比べてどことなく靄のかかったような声だ。
「そんな感じ、って」
「澪」
続けようとした言葉を遮って澪に向き直ると、口に煙草を咥えたまま、彼はおもむろに両腕を広げた。ぼうっと立っていると、促すように
「
澪は一瞬迷ってから、結局倒れ込むようにそこへ体をうずめた。淡く染み付いた、煙とイランイランの甘い香り。背中に腕を回されると、179cmある自分の全身がすっぽり包み込まれてしまうのが、澪には不思議で懐かしい感覚だった。
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和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!!更新いたしました!本当に申し訳ございませんでした! (2022年9月20日 13時) (レス) id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - アルフさん» ワ、ありがとうございます! 和癒さんの澪くんは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/2nayu2/】、うちのミヒャエルは【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/kokoridora6/】にCSがあります…! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 和癒さん» 全然!! 私も最近学校の部誌作るのでてんやわんやしてて… 来週までには落ち着くのでそしたらまた書きます! (2022年8月3日 7時) (レス) id: 29de6c45fc (このIDを非表示/違反報告)
アルフ - すみません、、とても面白かったのですが、出演しているキャラクターの設定などはありますか?いきなり質問すみません! (2022年8月2日 10時) (レス) @page21 id: c16c5fa71a (このIDを非表示/違反報告)
和癒 - ここりどらすさん» 遅くなってしまい、申し訳ないです!! (2022年8月2日 8時) (レス) id: f702b299fb (このIDを非表示/違反報告)
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