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朝が来ない世界ならば― (46) ページ46

―――2人の名は雨月多雨と雨月喜雨と

 いった。

 男の子の方が多雨。

 女の子の方が喜雨だ。

 結局、仲間になってもらったのだが…

 「いや、だからあっちだって!」

 「さっき逆だって言ってなかった…?」

 喧嘩が絶えない…

 双子で14歳だと言っていたけど、

 顔は似てるのになぁ…

 性格が合わな過ぎる。

 そう言えば、能力とか訊いてないな。

 「ねぇ、多雨、喜雨。

  君たちの能力はどうなんだい?」

 多雨と喜雨もオッドアイで髪が白い。

 多雨は右目が青色、

 喜雨は左目が緑色で、

 それぞれに片眼だけ色素が薄いのか

 色が透明だ。

 となると、能力も宿っているのだろう。

 すると、多雨が騒ぐのをやめて言った。

 「俺は"透視能力"だ」

 「私は"音を聴き取る能力"です…」

 多雨の透視については想像がついた。

 しかし、喜雨の音を聴き取るとは

 どういう事だ?

 「喜雨、もう少し詳しく聞けるかい?」

 「はい…

  未だに何処までの範囲なのかは把握出来て

  いませんが、草の擦れる音、風の音まで

  普通は聴き取れない細かな音を

  聴き取る事が出来ます…」

 細かな音…ね。

 便利かも知れない。

 もちろん、多雨の能力も。

 「ついでに教えてやる。

  俺らが能力を手に入れたのは

  1度死にかけた時だ」

 「死にかけた?」

 僕が訊く前に時雨が訊ねた。

 「そこまで詮索すんのか?

  まあいいや、俺らは4年前に

  交通事故に遭ってさ。

  それで、死んだ…筈だった」

 「死ぬ筈だった…!?」

 僕は想定外の答えに驚き、

 思わずオウム返ししていた。

 「ああ、死ぬ筈だったんだろうね。

  道路の真ん中で2人転がっていてさ。

  息も満足に出来なくて、苦しかったよ。

  その時、耳元で何かが囁いてったんだ。

  『面白いからもう少し生きてみろ』

  ってさ。

  意味分かんないよな」

 "神"の悪戯とでも言えば良いのだろうか。

 そうなると、運命を捻じ曲げて

 神は2人を生き返らせた事になる。

 どういう事だ?

 「僕にも分からないけど、

  確かな情報ではある。

  調べていく内に何か分かるかも知れない」

 僕は多雨にそれを約束した。

 すると、早速、多雨が

 透視能力で探してくれた。

 多雨に着いていくが、段々と

 異様な雰囲気が強くなっていく。



 そして、辿り着いたその場所で

 出会ったのは―――

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作者名:雨音 時雨 | 作成日時:2021年2月26日 0時

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