朝が来ない世界ならば― （５） ページ5
「じゃあ、一緒に来る？」
「へ？」
「………この事態の原因探し」
「この事態…ってことは元の世界に
戻れるの！？」
「いや、まだそこまでは…ただ――」
「ただ？」
「ただ、ここに来てしまった全員が
"オッドアイで髪が白い"んだよ」
「あー？あぁ……確かに」
「……なんでだろうね」
「ん？何だい？」
「あ、あの…いや……その、……」
「んー雨打大事なことは、はっきり
言わないと伝わらないゾ☆」
――僕も昔はあまり人と話す方ではなかった。
いつも教室の隅に立っていて。
やっとやっと出来た友達だって、
僕が前髪で隠していた目を見せた途端に
『"アルビノ"かと思ってたけど…違うんだ』
と言って、まるで宇宙人でも見るような
目を向けるようになった。
毎回、それを繰り返す。
中学に入るまでは永遠と、そして
最期までそれを繰り返していなければ
ならないのかと思うと、消えたくなった。
だから、雨打はあまり気にしていないように
見えるけれど、周りから変人扱いされている
のがとても気に掛かっているのだ。
「……うん。じゃあ話すよ。
僕たちって日本人なのになぜか
見た目が普通じゃないよね…これって
僕は凄く運命的で宿命でもあることだと
思うんだ」
「へぇ………雨打からそんな興味深い言葉が
聞けるとは思わなかったな」
「う、うるさいやいっ……！」
「優しい雨打が怒った〜」
まさか雨打が"運命"だとか"宿命"なんて
言葉を使うなんて思いもしなかった。
"宿命"ってことは、雨打にとっては
この普通じゃない特徴が皆との出会いの
"架け橋"であって、それをきっかけに
何か大きな物事を動かせる様な気が
しているんだ。
そう思うと、なぜか
―――――涙が溢れた。
「………？」
「なんで……泣いてるの？」
「いや、ホッとしただけ」
「ま、まさかっ…！」
「ん…？」
「まさか、雨打のことがす、好k―――」
「んな訳あるか」
「で、ですよねー」
雨打に対して"好き"って感情よりも
"懐かしい"感じがする。
僕と雨打は少し似ているところがあって。
でも、雨打の方が少し人見知りで臆病で。
本当は凄く周りを気にしているのに、
相変わらずマイペースで……
………あい……変わらず……？
"相変わらず"ってことは……昔、何処かで…？
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作者名：雨音 時雨 | 作成日時：2021年2月26日 0時
