朝が来ない世界ならば― （31） ページ31
――――木綿が言った"秘密基地"への帰り道。
僕らは誰も居ない、静かな夜の道だと
いうことを忘れてしまう程に
高い笑い声を上げて談笑した。
そんなこんなで秘密基地まで
戻って来た。
着いて直ぐに木綿が手に持っていた
大きな地図を広げ、大木に貼り付けた。
すると、雨打が悲しげな顔で言った。
「大木さん……生きてるよ…？
貼り付けちゃっていいの……？」
「雨打さんはとても優しいですね。
ご安心を。
大木さんは『大丈夫だ』と言っています」
「よかった」
雨打の問いに木綿ではなく、雨下が答えた。
「………」
木綿は押し黙ったまま、貼り付けた地図を
真剣に眺めている。
木綿以外の３人で木綿の様子を不思議に
思っていると、やっと閉ざしていた
口を開いた。
「ここだ。ここが『三つ葉公園』だ」
やっと口を開いたかと思うと、
突然『三つ葉公園』を指した。
「ということは………うん。
時雨、予知から推測すると
どの辺りになる？」
僕は脳をフル回転させて記憶を遡った。
そしてその有力な場所を指し、説明した。
「んー…ここだと思うよ」
「…日時」
「それは分からないけど、とりあえず
行ってみては？」
「まあ、そうだね」
ということで、明日その場所へ
向かう事になった。
もう何日も寝ていないし、
いくら時が止まっている世界だとはいえ、
睡眠時間は必要だろうということで
今日１日は休憩し、身体を休める事に
したからだ。
―――謎の少女との出会いまで、あと少し。
新聞の日付けがいつの間にか
４月下旬を指していた。
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作者名：雨音 時雨 | 作成日時：2021年2月26日 0時
