朝が来ない世界ならば― （４） ページ4
空には大きな満月。
やっと元に戻った赤い左目を抑えて
僕はゆっくりと学校の塀の上に座った。
「さっき見た未来は今年の４月１日…」
未来を見る、ということはその未来で何か
普通じゃないことがあるってことだ。
一体それが何なのかは分からないけど、
とりあえず朝になってから動こう。
――――翌日。
自分の腕時計を見ると、
秒針が動いていない。
おかしいとは思った。
ずっと空を見ていたけれど、どれだけ
経っても星も月も真上に来てから、
全く動いていない。
つまり、世界が、時が――――
止まっている。
ということは、ここで明るくなるのを
待っても意味が無い。
僕は仕方がなくスマホで辺りを照らし、
塀から降りた。
「こんなに暗いし、世界も違うなら
人が居るかもしれないなんて考えは
通用しないだろうなー」
とりあえず、学校にでも入ってみるか。
学校の中に入ると、建物の中に入る月明かり
が更に制限され、外よりも暗くなった。
「まずは―――職員室。先生居るかな」
バタンッ
「先生ーいらっしゃいますかー？」
「………」
返事無し。
だろうな。世界が同じでも、夜なら先生も
帰ってるだろうし。
「ならば……！次は校長しt――――」
何故か戸は開いているけど、
校長はいらっしゃられませーん！！
「こ、今度という今度こそは………保健室！」
ガラガラガラ……
優しい優しい保健室の先生も居なーい！
"三度目の正直"なんて言葉を作った奴を
呪ってやりたい。
「仕方ないな、１年教室ッ…！」
居ない。
「ならば、３年教室ッ……！！」
あぁ、卒業したんだった。
「何故か１番遠い２年教室ッ………！！！」
終わった。居ない。
「これからどうしようかな………はぁ…」
「あっ、同じ名前の人だ」
「いや、名前じゃなくて苗字」
「あー……そっか」
おっ！？
同級生だ！なんだ、居たのか。
居るなら早く出てきて欲しかったー
「時雨さんも飛ばされたの？」
「……？飛ぶ……？」
「雨打、飛んではないだろ？」
「ああ……じゃあ、違う世界に来ちゃったの」
「あーうん」
なんだか、この雨打って子と話すと
懐かしい感じがするんだよね……
木綿って人は…ただのクラスメイトかな。
「じゃあ、一緒に来る？」
「へ？」
「………この事態の原因探し」
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作者名：雨音 時雨 | 作成日時：2021年2月26日 0時
