朝が来ない世界ならば― （27） ページ27
―――時雨たちは特訓頑張ってるかな……
雨打は雨下との特訓の合間にふと
時雨のことを考えていた。
あんなに仲良くしてたんだけどなぁ…
何で離れ離れになっちゃったんだろ。
まあ、叔母さんと叔父さんのことだから
どうせ僕らが面倒だというので
成立してしまったんだろう。
「そろそろ、再開しましょうか。
日も暮れ………元からでしたね」
「うん」
雨下は完璧な様で少し抜けてる……
日が暮れるとか、言いがちな言葉だけど、
ここはずっと真っ暗だし。
「じゃ、もう一度この大木の幹に優しく
手を触れて………うん、そういう感じです」
「で……？」
「雨打さんは元々動物と意志の疎通は
難なくやっていたと聞いていますので、
その感じで人と話す様に………」
………大木から力を貰っている様な、
そんな感覚だ。
大木から伝わって来ている。
更に枝にとまっている小鳥にもその力が
伝わるのが分かった。
こう、じわじわぁ〜っと。
でも、嫌な感じじゃなくて
自然に入ってくる様な感じ。
すると、聴こえた。
『そんなにお姉さんのことが気になるの？』
小鳥が喋っている。
しかも、図星なんだけれど…
「雨下、小鳥が僕の考えていることを
当ててきたんだけれど…？」
「うん！成功ですね！良かったです〜」
この子……なんで肝心なところに
触れて来てくんないの…？
「ねえ、動物たちって僕の考えが
分かってしまうの？」
そう訊くと、キョトンとした顔で
雨下は普通のことの様に言った。
「分かるというか、
これはまだ第二段階でして……
大木に直接触れた状態の物同士の
意思疎通を大木が助けてくれている
んですよ。
もちろん、雨打さんの思い、考えが
強ければ強い程に伝わってしまいます。
まあ、第三段階で話すだけでなく
思い、考えを伝える特訓もしようと
考えていたのですが………
要らない様ですね！」
………えぇ！
『要らない様ですね！』じゃなくって…
「ではでは、第三段階に参りましょう！」
休憩は……？
え、無い感じ？
「はい！では、話したい動物と
触れずに話せる様になって下さいね」
「いや、説明は分かりやすいけど、
簡単な様で難しいよ…」
「ごちゃごちゃ言わないっ！」
この子、意外に面白いキャラなんだなぁ…
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作者名：雨音 時雨 | 作成日時：2021年2月26日 0時
