陰を知らぬ世界―。 (ページ11)

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朝が来ない世界ならば―　（11）ページ11

―――まさか、雨下にまで力が宿って

　いたなんて。

　しかも、４年前から。

　「雨下、まさか４年前からこんな暗い世界

　で過ごしているのか？」

　「ううん、違うよ。

　夜になったのは本当に最近、きっと

　お兄ちゃんたちが来たタイミングと

　ほぼ同じくらい。

　最初は気付かなかったんだけど、

　いつもお世話になってる大木から

　出て、そろそろ街に向かおうかと

　思ったらこうなってたの」

　街に向かおうとしていたってことは

　この世界に来ていなくても出会えたはず

　だったのか……それなら、なるべく

　普通に出会いたかった。

　「―――あ、でも……ここは夢の中だったな。

　今、何処に居るんだ？」

　「安心して、私と夢の中で少し早く

　出会えたのも、この左目の力なの。

　４年間の間、森の大木と共に過ごして

　来た中でその自然たちに協力して

　貰って、この力をコントロール出来る

　ように特訓してたの」

　特訓……か………

　つまり、今力を手に入れたばかりの

　僕たちにとってはコントロールの仕方

　については雨下の方が先輩ってことだ。

　「そっか……大変だったな、偉いぞぉ〜」

　そう言って、雨下の頭を撫でた。

　雨下は嬉しそうに笑って、話を続けた。

　「それで、その特訓の成果が…これ。

　私の能力は"植物と話せる力"だった

　でしょう？だから、その力を使って

　色々な植物たちと触れ合っている内に

　夢の中でもお話出来るようになったの」

　「いや、どういう仕組みっ！？」

　「んーそれは私にも少し分かんない部分が

　あるんだけどね……

　どうやら、お互いに"会いたい"と願って

　居れば居る程に強く引かれ合って

　夢の中で触れ合える様になってる

　らしいんだけどね……」

　「じゃあ、この力は僕たちの関係みたいに

　親密で、信頼が充分に持てる相手

　じゃないと使えないし、たとえ

　そういう関係でも、"会いたい"と

　願わないとダメってこと？」

　「うん……だからね、心配しなくても

　もうすぐ会えるよ。

　大木さんが『そういう定めだ』って

　言ってたもの。

　きっと会いに行くから、待っててね」

　「うん……必ず、待ってるよ」

　―――僕がそう言ったら、雨下は優しい笑顔を

　残して消えていった。

　もう、目覚める時間だ。

　雨打と時雨が待ってる。

　……そして、雨下も―――。