story28 手 ページ28
和「だって…信じられる？」
彼女は
手持ちのグラスを見つめたまま
動かない。
和「監督、いつも笑顔じゃん。
その監督の笑顔は
みんなに元気を与えてるんだよ？
それが…偽物だなんて
俺には思えない」
偽物の笑顔で
周りの人を笑顔に出来る？
俺には
あなたの笑顔は
本物にしか見えないんだよ。
それが本物じゃなかったら
何を信じればいい？
「じゃあ…
今の私が
偽物に見える？」
潤った唇からこぼれた声は
凍っていた。
瞳は
俺を向いているのに
俺は映っていない。
綺麗な色をしたその目には
孤独以外なにも映っていなかった。
和「見え…ない」
「ふふ」
小さく微笑んだ彼女は
髪を耳にかけると
酒を一口含んだ。
いつもと違う彼女の
行動ひとつひとつは
なんだか色気をまとっている。
「正直言うと
どっちも本物なのかもしれない」
そう言った時
ちょうど頼んだ料理がやって来て
その先の彼女の言葉を止められた。
そのまま
お互い料理に手をつける。
和「うまっ！」
「でしょう？」
あまりに美味しくて
つい言葉が出てしまった。
…て、
言いたいのはそれじゃなくて。
和「どっちも本物…って
どういうことですか？」
口に運んだ料理を
直前で止めた監督。
「そのままの意味だよ」
それだけ言うと
料理を口に含み
黙り込んだ。
白い喉が小さく動くと
今度はグラスに手を伸ばす。
華奢で、か細い彼女の手。
グラスを握ったその手を
俺はとっさに掴んだ。
和「……」
「……」
和「……教えてください」
「……」
和「本当の監督を
俺にはちゃんと教えてください」
ずっと
まっすぐに彼女の目を見ていたら
向こうから視線を逸らした。
「…確かに最初は
笑顔はぜんぶ偽物だった」
ゆっくり
話し出した彼女。
「嘘でも笑えなかった。
それほど涼弥の愛が恋しかったから。
でも笑っていないと
いつまでも一人だから…
無理やり笑顔を作り始めたの」
俺は、
すぐにでも
なくなってしまいそうなほど
弱く小さい
雪のような手を
しっかりと握ったまま
話を聞いていた。
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愛美(プロフ) - みうなさん» いえいえ(^o^)/ (2014年11月26日 23時) (
レス) id: eadebd35f8 (このIDを非表示/違反報告)
みうな(プロフ) - ありがとうございます♪ヽ(´▽｀)/ (2014年11月26日 23時) (レス) id: 93348bd7a4 (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - みうなさん» たぶんもう鍵つけないと思います！でも、もしそうなった場合は聞いてくださって大丈夫です！ (2014年11月26日 23時) (レス) id: eadebd35f8 (このIDを非表示/違反報告)
みうな(プロフ) - また鍵をかけるさいはパスワード聞いても大丈夫ですか?? (2014年11月26日 21時) (レス) id: 93348bd7a4 (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - みうなさん» そんな風に読んでいただけたなんて嬉しいです(*´ `*) ありがとうございます、更新頑張っていきます！ (2014年11月26日 17時) (レス) id: eadebd35f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛美 | 作成日時：2014年11月15日 23時
