ツインテールの日 ページ7
2月の行事といえば大半の人々は「バレンタイン」と答えるであろう。
そして世の男子は恋人が居る居ないに関わらずバレンタインという日はそわそわする。
だがそんなバレンタインなど全く興味を示さず記憶の彼方へと飛ばしてしまい、2月2日を2月最大のイベントと認識する変人がこの屋上に1人いた。
その変人の名前は白宮源馬、最大イベントの日はツインテールの日という。
先程から源馬は○イッターにて # ツインテールの日 というタグを漁っているが、中々見つからないで居た。
好きなゲームやアニメに出てくるツインテールのキャラクター達を載せるユーザー達には共感を寄せながらも三次元のリアルツインテはハズレくじだと感じて居たのだ。
「やっぱり個性的な面ばっかじゃよォ、…見ている方が嫌ンなってくるのは仕方ねえな」
独り言ち、つい本来の話し方が出てしまう。
気が抜けているのであろう。
「おい、源馬」
誰かに肩を叩かれるも誰と分かるのか、源馬は口角を上げさわやかな笑顔で振り向く。
「何だい、空豆君」
「後ろからお前の画面が視界に入ってきては悪寒が止まらねえんだよ」
「それなら見なくて良いんじゃないかな」
空豆は後ろから携帯画面を覗き込みながらとある画像に指をさした。
そこに写っているのはピンクのアッシュのような髪色の耳元で二つ括りをしている美少女だった。
「この子、めちゃくちゃ可愛いじゃん」
「………」
「おい、源馬…？」
「そいつァ、ツインテールじゃあねえ。サイドテールじゃあねぇかよォオ！！」
空豆の肩を掴み何とも表現し難い表情で源馬は叫んだ。
「ちょ、落ち着けガチ勢…！！」
「…フウ。僕はね、空豆君。君と同等のレベルのリアルツインテを探しているんだ。リアルツインテはどうやら君だけのようだね」
「きもちわり。嬉しくねーよ」
勝手にやってろ、と空豆は源馬に吐き捨て退散してしまった。
源馬も半ば諦めた様子で屋上を後にしようと立ち上がる。
ドアノブへと手を伸ばした刹那勢いよく扉が開かれ源馬は反射的に避けた。
「すみません…！」
息切れしている女の子が顔を上げた。
「…！」
源馬は息を呑んだ。
女の子は茶色の髪のツインテールで顔も申し分のない可愛らしさだった。
「…げっ」
女の子は引きつった顔で声を出しかけたも狼狽えた様子で口を塞いだ。
(なんでここにげんまがいるんですか〜！)
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作者名：塩味 | 作成日時：2019年1月27日 19時
