光と闇 プロローグ ページ42
そんな便利な魔法を既に使い放題だった舞は迫害から逃げるために点々としていた。
本当に便利なもんで食糧や衣服を盗んではナイティードに溜め込み、ってな感じだったそうだ。
そして。
「光の結界が破られただと？！」
「はっ。今その者を連れて来たのですが…」
連れてこられたのは9歳の舞だった。
「なんということか…まだ少年ではないか」
爺ちゃんはその場で崩れ落ちてショックな様子だ。
オレも驚いた。
「そなた、どうやってこの島へと辿り着いたんじゃ」
「……普通に、住めそうなとこだなと思っただけだ」
第一印象は闇とだけあってって言っちゃダメなんだけど暗いやつだなって。
堅物というかめちゃくちゃオレとは正反対。
「…見えていたのか…？ではどうやってこの島へと入れた」
「…？普通に入れたが」
舞は首を傾げていた。
この時爺ちゃんは舞の高すぎる魔力に絶句をしたらしいが、敵意はないと判断し城で保護をした。
日が経つうちに、オレの遊び相手にもなった。
まだ幼かったオレは城の中じゃ誰とも遊んでもらえないというか大人ばかりが相手で退屈をしていたんだ。
そして舞は段々と明るさと人間らしさを取り戻した。
舞が来て1年経ったある日。
「おにいちゃん」
「何？どうしたの」
「オレ、おにいちゃんみたいに魔法使えるようになりたいなぁ」
「君も相当な素質だって聞いたよ。僕なんかよりすごい魔法使いになれるはずだ」
「おにいちゃんはそう願ってるの？」
「え？」
「おにいちゃんはオレに倒されたいんだ」
「……き、君まだ5歳だよね」
「？」
舞が驚くも仕方がない。
オレは幼いながら直感的に感じたんだ。
舞は自分より強い相手が現れて、自分を殺してくれるのを何よりも望んでいた。
「おにいちゃんは、ずっとオレの友達でいてくれないの？」
「…え、ああ」
「オレ、おにいちゃんのこと大好きだよ。おにいちゃんの魔法も。だから、おにいちゃんとずっと一緒にいたいんだ。
おねがい、オレと生きてよ」
その時の舞は目を大きく目を見開いて驚いていたようだけど、小さいオレを抱き締めて力強く頷いたのをよく覚えている。
今は随分とお互い歳もとって変化もあるけど。
それでもオレたちは親友だ。仲間だ。相棒だ。
爺ちゃんが是非うちの孫の側近に〜とかスカウトしてたけど舞はそれを蹴って自称パートでオレの元で働いている、のか？遊んでるかも。
まあいいや、楽しいしな！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：塩味 | 作成日時：2019年1月27日 19時
