相棒 ページ37
「ここにしばらくいてもよろしいかしら」
カイは瞬きをして理解をしきれていない様子だが、アレクシスは少し間を置いてから、
「最初からそのつもりで連れて来た」
と、答えた。いつもなら「おーう、ゆっくりしてけ〜」といった感じで大歓迎な姿勢を見せるのに、
アレクシスも何やら深刻でトーンも低い。
カイは気になり始めた。
ミレイは食べ終わると皿を流しに戻し眠たいと言っては寝室に戻っていった。
それも不審だ。
「アレク。何かおかしい」
「ああ、そうだぜ。おかしいんだ」
「ミレイは何者だ」
「フランス支部の支部長の娘だ」
「！」
フランスはアレクシスの故郷であり、アメリカ支部とは対立をしている。
「何故…！」
「アメリカ支部長があの娘の命を狙っている」
「助けるためにか？…だが、何故殺す」
「おいおいアサシン何年やってんだよおめー」
「……殺す理由がわからない。彼女も殺される スジキリ はないはずだ！ただ生きているだけだ、何も知らない、彼女は生きてもいい！」
「筋合いな。だがよ〜ォ、今回はお前は首突っ込まないほうがいいんじゃあねえか。お前の親父がぶっ殺すと決めた女を俺が匿ってるんだから」
「……アレク、この話をするためにミレイに睡眠薬をもったな！」
カイは勢いよく立ち上がり扉へと走っていった。
「おい、カイ！どこに行くんだよ、お前…ッ」
「父さんに言う、これはおかしいと、オレが直接！」
「馬鹿野郎、そんな交渉無謀過ぎるッ。畜生、これだから単細胞は。俺に考えがあるからまずは聞け」
アレクに首根っこ捕まれソファへと投げ飛ばされた。
カイは不承不承ソファへと腰をかけ話を聞く。
考えとは数日間ここにかくまった後、フランス行きの飛行機でフランスへ行き、アレクシスの田舎故郷で村娘として暮らさせるというシンプルなものだった。
それまでカイとアレクシスが彼女を守るということだ。
「殺さなくていい命まで摘み取るのは俺も反対だしよくねえことだと思うわけよ」
「同感だ。それは父さんでも許せない。飛行機を使わなくても兄さんの魔法で…」
「兄貴に話すことは日本支部に情報を流すわけだからリスクがある。アメリカと日本も一応敵なんだぜ。ここは2人でやるしかない、やるんだよ」
カイは力強く頷く。いかがわしいことをしていたようだがオムレツを食べる姿は純粋そのものだ。普通の人間だ。
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作者名：塩味 | 作成日時：2019年1月27日 19時
