塩宮明次郎のネタ帳 (ページ34)

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君はお姫様ページ34

その刹那、警備員が懐中電灯で都姫を照らした。

しまった！と慌ててアレクシスの手を取ろうとしたものの彼の姿は忽然と消えていた。

すると警備員の懐中電灯は突如破壊され辺りは暗闇となった。

「アレク、まだそこにいらっしゃるのですね。…アレク、私はいつまでも待ってます。ずっと、ずっと！」

館の屋根の上を誰かが歩く音がする。
きっとアレクの足音だ。
今の言葉は必ず届いているであろう。

証拠に都姫の手にも弾が握らされていた。こんなもの送られて喜ぶ女子、いや人間などそう存在はしないが都姫にとってこの弾はお守りのようでもあり彼そのものを感じ、約束の契りでもある気がするのだ。

「私は大切な人がたくさんいるのだけど、その中でも貴方は大切な友人です、アレク」

弾を握りしめて胸へとそっとあてる。
何かを与えてもらうだけでなくいつかは彼の役にも立ちたいと、そう願う。

「お姫様」

ふざけて呼ぶ彼の声を思い出しながら、少し悔しい点が一つ。
友人ならば名前で呼んで欲しい、次連れ出してくれる時は必ず名前で呼ばせてやろう。

警備員をよそに都姫は1人そっと微笑んだ。