Plaisir D'Amour ページ28
高貴なパーティー会場はシャンパンやワイン片手に貴族たちの笑い声が響く。
シャンデリアの光が煌びやかな女のドレスに反射し辺りは光り輝いているようだ。
そこに場違いな少年が1人。
その名はカイ・マーフィーである。
まるで服に着せられているような、上等な服は彼の性分には合わない。
そわそわと落ち着きない様子で好きな日本の寿司にも手を伸ばそうとしない。
それを見かねたミハエルは苦笑いをこぼす。
ミハエルは男ではあるが女顔負けの美しさでありゴシックなドレスを着こなしている。
白く細く長い脚を惜しみなく露わにし、周りの男性たちの視線は彼の脚へと集まっているようだ。
「カイ、食べないの？」
「……オレには、合わない。とても、緊張するデス」
落ち着きがない理由のもう一つはあまりにもミハエルが綺麗であること。
当然そんなこと口にはしない。
固まっているカイの両肩に手が置かれ、びくりと体が跳ねた。
「やあ、カイ」「よーオ、カイ君」
同時に声をかけてきた2人は互いを見つめ合い…否、睨み合っている。
「ロイさん」
ミハエルは黒を基調としたスーツをびしりと着こなしているカイによく似た男の方へと声をかけた。
「アレク…！お前、何故ここに」
2人は声をかけられはっとした様子で2人を見る。
バックの音楽隊の演奏は花のワルツだ。優雅な音楽に合わせ貴族たちは踊り始める。
「こんにちは、ミハエルさん。どうだ、カイ。パーティーは楽しめているか」
「それがさっきから固まって何もしてないんだよね」
「にっ、兄さん。とても素敵な場所だがオレには ばついち だ」
「いつ離婚したんだよ、そう言うなら場違いだろ」
「あ、ああ。ばちがい デス。兄さん、オレ…」
「すまない、お前には負担をかけているなんて。気付かなかったよ」
おどおどと珍しく目を泳がせているカイを見て、ミハエルがぽつりと「今なら倒せそう」と不謹慎な発言をした。
「随分と物騒な事言うじゃあねえか、お嬢さん」
「…君は」
「俺はアレクシス・バルサ。拳銃使いだ。そのドレス、よく似合ってるぜ。どうだい、俺と一緒に」
「へえ、そんな簡単に自分の武器を明かすんだ。ダンスなんだけどお断り」
「おい、アレク。お前何を言っているッ」
「そう怖い顔すんなよ〜。カイ、お前は奥手すぎる。先ずは褒めてやらねえと。お前はこんな綺麗な姿に何も思わねえのか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：塩味 | 作成日時：2019年1月27日 19時
