三十四香 ページ36
「_____、___」
「『…………。』」
無事に太宰さんの元に帰ってこれたものの。
「おかえり」と一言云っただけでずっと無線とお話している。
しかも声すごい冷たかった。
フェロモンもピリピリしてる。
泣きそう。
中原さんに助けを求めるも、
『(助けてくださいよ……!)』
「(無理、自分で考えろ。)」
半分呆れ顔で云われた。
その呆れは太宰さんに対してですよね?ね?
否、うん、本気で如何したら良いのか判らないのだが。
うーん、うーんと頭を捻らせていると流石に太宰さんも連絡が終わったようだった。
然し、私には結論が出ていない。
そして太宰さんも中原さんと話してる。
え?何?
やっぱり私の事なんか心配してなかったりしたり?
伯父様から云われただけとか?そんな感じ?
『(………………何だ、莫迦みたい。)』
「(……?)」
自嘲を含んだ笑みが溢れる。
然し其れと同時に、目尻が熱くなった。
別に、私はただ伯父様の娘だから構って貰えているだけで、実際は……、
『っひ、うぅ…、』
「「!?」」
嗚呼、悪い癖。
「泣いて助けを求める」私の悪い癖。
だから、だから私は……
「(手前何泣かせてんだよ!莫迦!)」
「(いやいやいや、流石に泣くとは……)」
ほら、二人して焦ってる。
泣かせちゃった、って。
ごめんなさい、別に赦しを乞う心算ではなかったのに。
なのに。
『________ッえ?』
ポンッ、と頭の上に手が乗る感覚。
目を見開いて上を見上げると、目を反らして少し頬を染めた太宰さん。
「ごめん、そんな心算じゃなかった。」
私だって、と云いかけたその時、太宰さんが其を防いだ。
「けど、」
けれど。
矢張り彼は、私の今まで見てきた人間とは違うようで。
「君も、私に何か云うことあるんじゃない?」
此れは私が単に頭が固かった、若しくはもっと単純に私が莫迦だったから、というものだ。
でも、そんな事に少し怒っていた(?)のかと思うと、自然と頬は緩んで。
『…ごめんなさい。』
するとやっと目が合って。
途端に彼は今迄見たこともないくらいに優しく微笑んだ。
優しい香りのフェロモンが私を纏う。
ほら、彼は違う。
私の周りにいた人間なんか、凡てキーキー喚いている猿に見えてきてしまうほど。
_____「あんたなんか死ねばいいのに」
_____「一人ぼっちの室生さん。」
______
___
何かシリアスで始まってシリアスで終わった。
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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね!?あれ私も大好きです!! (2023年2月16日 20時) (レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます!更新頑張ります!こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました! (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:
作成日時:2018年8月14日 9時