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八香 ページ10

『……お邪魔します。』


太宰さんの家は高層マンションの最上階だった。

部屋は二階と一階に別れていて、総面積的にはここら辺ではかなり高い筈。

幹部はさぞ給料高いのだろう。

まぁ、私は伯父様とエリスちゃんと住んでるから趣味にしかお金を費やさないんだけどね。


「どうぞ。スリッパは適当に使って。」

『了解です。』


三足掛けてあるうちの一番下のを取る。

と云うか今思い出したけど、私普通に靴脱いだら身長低いのバレてしまう。

頑張って底上げして162糎にはあげてあるのだが、脱いでしまったら157糎。

まぁ、気にすることでもないか。

彼からしたらもとから小さい人だろう。


先に奥へと消えた太宰さんの後を追うように、私も奥の部屋へと向かった。




却説、部屋に来たものの私は何をしたら良いのだろうか。

太宰さんは台所で水を飲んでいる。

そして私は扉の前で突っ立っている状態。

同棲するとはなったものの、彼も年頃だろう。

家に女連れ込んでセッッッッッ!することも多々あるのではないか。

その人とは、体の関係だ。


『……なら私は?』

「婚約者で良いんじゃない?」

『嗚呼、成る程…………って否、何を?!』


バッと台所で壁にもたれ掛かっている太宰さんの方を見る。

この人婚約者と云ったか。

婚約者って知ってます?


「だって森さん嫁ぐとか云ってたじゃん。」


…あ、その前の発言が衝撃的過ぎて頭がそっちに回っていなかった……。

え、待って?

嫁ぐって冗談とか比喩じゃないの?

真逆の本気だったのか伯父様は……。


『……で、でも、』

「厭なの?」


鋭い太宰さんの言葉に、思わず自分の思考回路が停止する。

すると、大理石であろうシンクに、コトッと硝子のグラスを置いて、此方へ歩み寄ってきた。

太宰さんの瞳が私をしっかりと、獲物のように捕らえ、逃がさない。

視線が彼から反らせない。


彼との距離が一米もなくなると、自然と後ろに足が下がる。

然し、いくら広いと云えど此処は部屋と云う名の匣だ。

当然、背中が壁につく。


『そ、そう云う訳では………、』


横からの逃げようとするも、バンッと長い腕が阻止し逃げられなくなった。

太宰さんの顔が目の前にある。

会って一日目でこの距離か。


「ふぅん…、なら、今此処で接吻していい?」

『………んぁ?』

九香→←七香



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ゆら(プロフ) - 棒緑カエル軍曹ってあれですよね!?あれ私も大好きです!! (2023年2月16日 20時) (レス) @page45 id: 9fa1b4957f (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - イージストさん» ご意見ありがとうございます。えと、少し考えてみます笑私もこの作品が好きなのでそう言うような形で続けられれば嬉しいですし。 (2019年2月27日 16時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
イージスト(プロフ) - これの中也バージョン見たいかも (2019年2月27日 15時) (レス) id: d35fbbbafd (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 博識のうさぎ(仮)さん» これからも、様々な小説で陰ながらこっそりと拝見させて、応援させて頂きます! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 09928c8e9d (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - サキさん» ありがとうございます!更新頑張ります!こちらこそここまで読んでくださりありがとうございました! (2018年12月10日 20時) (レス) id: e5b267ef9c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年8月14日 9時

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