いつか、絶対に。【進撃の巨人】 (ページ9)

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最後の1枚を洗い終えて、手をサッと拭き取る。

　
　乾燥して荒れ始めた手先を優しく撫でる。

　
　「おつかれさん」

　「ありがとう。おやすみなさい」

　裏の戸をそっと開けて外へと出た。

　いつもと変わらない殺風景がならんでいて、私もまた、その中に溶け込む。

　でも、ひとつだけ、変わったこと。

　この殺風景の中に、馴染みのない男が1人、佇んでいた。

　
　「ごめん、待った？」

　「遅ぇな…。早く行くぞ」

　少し早歩きをするその男───基リヴァイの背を追う。

　向かう先は、イザベルやファーランが待つ家である。

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　「兄貴！A！帰ってきたんだな！」

　「おかえり、リヴァイ。それとAも。」

　「ありがとう。」

　
　もう、7年は言われていなかった"おかえり"を言われて、なんだかむず痒くなってしまった。

　「紅茶淹れるからそこで待ってろ。」

　帰るなり手を洗って台所に立つリヴァイ。

　
　「私も手伝おうか？」

　と、そのリヴァイの隣に並び尋ねる。

　「ああ、頼む。」

　「ん」

　わしゃわしゃと乱雑に撫でられた感覚が少し嬉しくて、思わず口角が上がってしまった。

　「リヴァイはほんとに紅茶好きだよね」

　「…あぁ。まぁな」

　手を動かしながらも、リヴァイの横顔を見つめる。

　7年前に比べて、眉間のシワも深くなったし、なんとなく貫禄も出てきたなぁ

　…背は余り変わらないけど！

　「…おい、今失礼なこと考えてるだろ」

　「ひぇっ？！い、いやぁ〜、何も〜？」

　「本当にお前は嘘をつくのが下手だな」

　肘で横腹当たりをつつかれ、うっと声が出る。

　
　｢い、いたい…｣

　｢因果応報だ。｣

　ふっと鼻で笑って皿洗いに戻るリヴァイの眉間の皺は、7年前よりも浅くなっていた気がした。