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# 40 ページ42

馬車から視線を男性兵に戻す。

 桶に汲まれた水に布巾を浸し、絞る。


 「染みますが、我慢してください…」


 傷口に布巾をあて、優しく血や泥を拭う。

 やはり染みたらしく、兵の顔には苦痛の色が浮かんでいた。

 「次で最後なので…」

 傷周りは大体拭えたので、次は包帯を巻く。

 腕を少し持ち上げ、ゆっくりと、丁寧に包帯を巻いていく。


 あと少し…。

 …よし!できあがり!

 
 最後の1周を巻き終え、ゆっくりと足をベッドに置く。


 「これで終わりです。お疲れ様でした」

 
 兵にそう言うと、安心したように目を瞑った。

 
 次は隣のベッドへ移動する。


 医療班、そろそろかなぁ…?


 そう思いながら、負傷兵の様子を除き見ようとしたそのとき。


 大きな音を立てて扉が開いた。


 「おい。負傷兵が寝ているんだぞ」


 リヴァイが、扉を開けた兵に向かって睨みながら言ったが、兵はとても青白い、恐怖でいっぱいの顔をしながら言った。


 「シガンシナ区の壁が…。破壊されました…。」


 その一言に、意識のある負傷兵たちがざわめきだす。


 シガンシナ区の壁が…破壊…?


 思考が追いつかなかった。あんなに高い壁が、一体何者によって…?


 「そしてその後…。ウォールマリアも突破されたとのことです…」


 ざわめきは更に大きくなった。

 
 ウォールマリアも突破された…?

 本当に意味がわからずリヴァイに目をやると、眉間の皺が今迄で1番深くなっている。

 「どういうことだ」

 「なんでも、壁よりも大きい巨人が現れ、門扉の部分を破壊したとか…。その後、全身が何かに覆われた謎の巨人が現れ、マリアとシガンシナ区を繋ぐ門に体当たりして破壊したらしく…。」


 意味がわからない。


 壁よりも大きい巨人ということは、少なくとも50mはあるはず。
 

 そんな大きな巨人に、駐屯兵が気が付かないわけが無い。

 
 一体、何が起こっているんだろう…。

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作者名:来世は春菊 | 作成日時:2023年11月25日 23時

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