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馬車から視線を男性兵に戻す。
桶に汲まれた水に布巾を浸し、絞る。
「染みますが、我慢してください…」
傷口に布巾をあて、優しく血や泥を拭う。
やはり染みたらしく、兵の顔には苦痛の色が浮かんでいた。
「次で最後なので…」
傷周りは大体拭えたので、次は包帯を巻く。
腕を少し持ち上げ、ゆっくりと、丁寧に包帯を巻いていく。
あと少し…。
…よし!できあがり!
最後の1周を巻き終え、ゆっくりと足をベッドに置く。
「これで終わりです。お疲れ様でした」
兵にそう言うと、安心したように目を瞑った。
次は隣のベッドへ移動する。
医療班、そろそろかなぁ…?
そう思いながら、負傷兵の様子を除き見ようとしたそのとき。
大きな音を立てて扉が開いた。
「おい。負傷兵が寝ているんだぞ」
リヴァイが、扉を開けた兵に向かって睨みながら言ったが、兵はとても青白い、恐怖でいっぱいの顔をしながら言った。
「シガンシナ区の壁が…。破壊されました…。」
その一言に、意識のある負傷兵たちがざわめきだす。
シガンシナ区の壁が…破壊…?
思考が追いつかなかった。あんなに高い壁が、一体何者によって…?
「そしてその後…。ウォールマリアも突破されたとのことです…」
ざわめきは更に大きくなった。
ウォールマリアも突破された…?
本当に意味がわからずリヴァイに目をやると、眉間の皺が今迄で1番深くなっている。
「どういうことだ」
「なんでも、壁よりも大きい巨人が現れ、門扉の部分を破壊したとか…。その後、全身が何かに覆われた謎の巨人が現れ、マリアとシガンシナ区を繋ぐ門に体当たりして破壊したらしく…。」
意味がわからない。
壁よりも大きい巨人ということは、少なくとも50mはあるはず。
そんな大きな巨人に、駐屯兵が気が付かないわけが無い。
一体、何が起こっているんだろう…。
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作者名:来世は春菊 | 作成日時:2023年11月25日 23時