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 本部に戻ると、負傷兵達の手当で、兵たちは忙しなく動き回っていた。


 改めて見ると、本当に見るに堪えない光景だった。


 片腕を無くした人、片目を無くした人、もう歩けなくなった人……。


 悲惨だ。

 
 あまりの光景に兵舎の入口で突っ立っていると、後ろからリヴァイに背中を押される。


 「手伝うぞ」

 「うん。」


 リヴァイの後を追うようにして兵舎に入った途端、血独特の生臭い匂いが頬を撫でた。


 兵舎内を忙しなく走り回っていた兵のうち1人が、リヴァイに声をかけた。


 「リヴァイさん!」

 「なんだ」

 「動けない負傷兵を運ぶのを手伝って欲しくて…」

 「わかった。どこにいる?」

 「外の荷馬車付近に!」

 「わかった。」


 リヴァイ、頼られてるなぁ…

 と思っていると、リヴァイが歩き出す。


 「お前もこい、A」

 「えっ、うん、わかった」


 いきなり腕を捕まれビックリするが、リヴァイに遅れを取らないよう、少し小走りで歩く。


 兵舎の周りを回って裏に来れば、荷馬車と共に負傷兵が何人か横たわっていた。


 リヴァイに続いて駆け寄る。


 「A。馬を小屋に戻せ」


 「わかった」


 馬と馬車を繋いでいた紐を解き、馬を小屋に誘導する。

 私の手のひらに擦り寄ってきたのが少し可愛かった。


 「1人運べるか?」


 「が、頑張る」


 横たわっている中でもいちばん小柄な女性兵を、ゆっくりと抱えあげた。

 どうやら、右腕と右足を骨折しているようだ。

 足と腕が痛まないように、慎重に横抱きにすると、女性兵はやがて小さな呻き声を上げた。


 「あと少しなので…。頑張ってください」


 女性兵は目を開けるのもやっとだ。

 なんとかして、急いで運ばなければ…。
 
 男性兵を2人担いだリヴァイの後に続いて、医務室に足を向けた。



 
 

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作者名:来世は春菊 | 作成日時:2023年11月25日 23時

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