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急いで馬を進めていると、やがて陣形の最後尾であろう部分が見え始める。
よかった…。
ほっと胸を撫で下ろす。
馬の手綱を強く引いて速度を上げ、ようやく追いついた。
…後衛の中でも割と中心部にいたはずのユレイナさんが、今や1番後ろにいる。
「ユレイナさん!」
後ろから大きく声をかけると、ユレイナさんは振り向き、やがて目を見開く。
「Aちゃん!生きていたの?よかった…」
安心したようにそう言うと、ゲルトさんやカイさんも後ろを振り向いた。
よかった、みんな無事だ。
ミケ分隊長も、きっと前衛で活躍していることだろう。
「黄色の煙弾が見えました。どういう状況ですか?」
すこし緊張しながらもユレイナさんに尋ねると、落ち着いた表情をしていた。
「あぁ…。今から森の中に入って拠点を探す予定なんだけど、どうも雨が降りそうでね…。雨が降って陣形が崩れてしまうと被害が大きくなるから、それを防ぐためだと思うけど…」
「なるほど…」
ふと空を見上げると、真っ黒な雲が全体を覆っていた。
さっきまでは雲ひとつなかったのに…。
暫く見上げていると、やがて落ちてきた雫が頬に滴る。
「Aちゃん、森。入るよ」
ユレイナさんの声に右を向けば、緊張した面持ちをしていた。
暫く進むと、雨が激しくなり始める。
土はぬかるみ、気を抜けば転げてしまいそうだった。
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作者名:来世は春菊 | 作成日時:2023年11月25日 23時