# 22 ページ23
お互いの目が合い、はっと息を飲む。
何故、リヴァイがここに？
エトガーの話では、憲兵に連れ去られたはずなのに…。
私が見ているのは亡霊かもしれないと思い、目を擦るが、やはりそこにはリヴァイがいた。
「あとは2人でゆっくりするといい」
そう言って出ていったエルヴィン分隊長の声は、右から左に抜けていった。
お互いの間に、まるで時が止まったかのような沈黙が流れた。
「…リヴァイ？」
「あぁ…。」
リヴァイの声を聴いて、昔の記憶とか、懐かしい家とか、本当に全部を思い出した。
「リヴァイ…！」
堪えきれなくなった涙を隠すようにリヴァイに抱きついた。
「あぁ、俺はここだ。」
まるで子供をあやすかのように私の頭と背中を撫でるその手は、変わっていなかった。
抱きしめた感覚が嘘では無いことを知って、リヴァイの存在を確かめた。涙はどうしても止まりそうになかった。
「…落ち着いたか」
だんだん落ち着いてきて、涙も引いてくる。
そんな私の様子を見兼ねて、リヴァイが私の顎を優しく上に向ける。久しぶりに明るくなった視界に、思わず目を細める。
「ひでぇ顔だな」
「リヴァイのせいでしょ」
ふ、と小さく笑って、私の目尻に少しだけ残っていた涙を指で優しく掬う。
「座るか」
部屋の真ん中にある、少し小ぶりな丸いテーブルに向かい合わせで置いてある椅子に腰掛けた。
部屋の中にはもう1つベッドがあるが、今は誰も使っていないらしかった。
「久しぶりだな」
「うん…。会えてよかった、本当に」
ふふ、と2人で小さく笑う。
「リヴァイ、死んだのかと思ってたから…。びっくりしたよ」
「あ？何でだ」
「だって、エトガーが、リヴァイ達が憲兵に連れて行かれたって言うから…」
「エトガー？…あぁ」
眉をひそめたリヴァイだが、直ぐに納得したような表情になった。
「俺が連れていかれたのは調査兵団だ、見ての通りな。あいつは目が悪ぃからな。見間違えたんだろ」
「そうだったんだ…。まあとにかく、リヴァイが生きててよかった」
「勝手に人を殺すな」
テーブル越しに軽くでこぴんをされ、痛さに思わず額を抑えた。
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作者名：来世は春菊 | 作成日時：2023年11月25日 23時
