五条さん家のお兄ちゃん！ 続編【呪術廻戦】

45. ページ4

本能が警告を鳴らした瞬間、また何かが飛んできた。


今度は1本ではない。いくつも連なり、その場を突風の如く駆け抜けた。


｢──矢か…！｣


｢お！ご名答〜！うんうん、期待通りだ。おかげで楽しいよ｣


その言葉につられるように、矢の勢いも増していく。まるで術師の内面が現れたかのように、それらは嬉々として俺を突き刺そうとする。


ここは1本の長い廊下。相手は圧倒的遠距離攻撃。隠れ場などない。


このままでは、終わる。体力のあるうちに逃げるしかないか…？


｢あれ、もしかして逃げようとか考えてないよね？困るなぁ。狙った獲物をのがすような奴に思われてるなんて｣


まるで思考を詠んだかのような瞬間だった。


｢この術式は、呪力から物を構築する。構築術式とちょっと似てるけど、少し違う。構築術式で生成されたものは消えないけど、これは生成から消滅まで術式効果の範囲内だ。つまり、身体への負担が小さいんだ｣


術式の開示…！


｢さあ、こっからだ。楽しもうじゃないか｣


その言葉を皮切りに、また何本も矢が飛んでくる。


それを避けようとして身体を右へ傾けた時にはもう、別の矢が眼前にあった。
圧倒的な死の壁が、俺の前に突如立ちはだかった。


死の予感から、確信へ変わった。


だから考える暇もなく、俺は術式効果を切り替えていた。


｢──！

なるほど…！｣


矢の雨が止み、辺りには乾いた音が響いた。


──パン パン


それは次第に間隔を狭めていく。


──パンパンパンパンパン


｢なんだ。遂に頭でもおかしくなったか｣


そこまできてようやく、それが拍手によるものだと気がついた。

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