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緊張 ページ12

とうとう、伊沢さんと会う日が来てしまった。

……怖い。

せっかくなので少しでもおめかししなきゃと考えて、昨日の夜に服は考えた。


なので今は鏡の前でチェックしている。



でも、いつまでもナヨナヨしている場合ではなく、家を出る時間になってしまった。


『いってきまーす』と家の中に声を掛けて外へ出る。

緊張のあまり早足になって周りの人から怪訝な顔をされるが、気にしていられない。


電車に乗って、待ち合わせの場所まで行くと、そこには既に伊沢さんが本を読みながら立っていた。

それだけなのに様になっている。カッコいい。

しかも約束の15分前なのに……。尊敬の念がさらに深まる。


そのまま走って近づくと、
「あ、Aだ!」と顔を上げた。

『お待たせしてごめんなさい……』
謝ると、
「いや、俺が早いだけだよ。川上もまだだしね。」
と言う。

優しい。紳士だ。

『あの、握手して頂いてもいいですか?』

会っていきなりっていうのはおかしいかもしれないけど、ずっとやりたかったことだ。

してるとこ川上さんに見られたらいじられそうだし。


「はは、いいよ。」
そう言って伊沢さんは手を差し出してくれた。

『ありがとうございます!』
なので伊沢さんの大きな手に自分の手を重ねる。

この手がたくさんの押しをしてきたんだなと体感
……していたのだけれど。

「え、思ったより小さいね?」


バレた。
私の最大のコンプレックスは手が小さいことなのだ。
クラスで1番大きな子の第一関節分小さいし。
(女子校なのに)

『よく言われます……私は大きくなりたいんですけどね。』

「えー、でも可愛らしいと思うけどなぁ。」

『本当ですか!』

伊沢さんにそう言われた瞬間、少し自分の手が好きになった。

「うん。」

『なら、良かったかもしれないです。』


「あと、手あったかいね?」

私の手をまじまじと見つめる伊沢さん。
恥ずかしい。伊沢さんほど綺麗な手はしてないと思う。


『そうですかね?子供体温ですけど……』

「あ、それだ。」

『え?』

「なんか、あったかいっていいね。
冬とかに良さそう。」

『なんですかそれ。』

「ごめんごめん、ははは」

『あはははっ』



そんな感じで二人で笑っていたら、

「え、何?手を握りしめあってんの?」

怪訝な顔をした川上さんがやってきた。

言われてみるとお互いが急に恥ずかしくなって、

「違うよ!」『違います!』

否定が重なった。

「なんか息ぴったりやん。」


 

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姫宮りな(プロフ) - こんにちは!!!さん» ありがとうございます。もしかして:学校同j((( (2020年7月1日 17時) (レス) id: f4ccc602c4 (このIDを非表示/違反報告)
こんにちは!!! - はじめまして、あの、その、このお話を読んだ時に、マンドリン、テレビ出演禁止とかをみて、私の学校と似てるなーなんて思いずっと読ませていただきました!すごく面白かったです!19より。 (2020年6月12日 10時) (レス) id: 862c971c3b (このIDを非表示/違反報告)
姫宮りな(プロフ) - みなみさん» そんな暖かく迎えていただけるなんて……もう感動です。書き手冥利に尽きます。ありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 44cfe62c3a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - お帰りなさい!実は、密かに読んでいたので嬉しいです!これからも自分のペースで更新頑張って下さい。 (2019年10月19日 20時) (レス) id: 1c715d90c6 (このIDを非表示/違反報告)
姫宮りな(プロフ) - ぶどうさん» 本当ですね!訂正させて頂きました。ご指摘ありがとうございます。読み返したくなるだなんて言って頂けて光栄です。更新も頑張ります。どうかこれからもよろしくお願い致します! (2019年9月23日 20時) (レス) id: 14cd469b25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:姫宮りな | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Rina_Himemiya  
作成日時:2019年9月5日 22時

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