筆休めの物語【短編集】 (ページ8)

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◆見よ、我が栄光たる宮殿を(FGO/別途完結分) ページ8

目の前に立ちはだかる太陽の騎士に次々と倒れていく皆にどうするかと立香は悩んだ。

撤退すべきか。

疲弊しているマシュの背中を見て、声をあげようとしたところ誰かが立香の肩に手を置いた。

「！」
「よく頑張った少年。その気概に少しばかり私も力を貸して差し上げようではないか」

現れたのは中世の貴族を彷彿させるような、群青色の細部まで刺繍されている紳士服のような物を身に纏った男性である。

風にはためく同色のペリースをたなびかせ、藍色のような不思議な色合いの髪色に翡翠のような瞳を持つ彼はにこりと微笑むと、盾を持ったマシュの左隣に立った。

「やぁ美しい淑女(レディ)、僭越なら私も戦わせていただこう」
「っ、え」

マシュは隣を見て、それから立香の方を見た。

誰だか不明だが今の戦況を打破出来るのなら、立香はマシュに頷き男性にお願いしますと叫んだ。

「心得たよ少年。さて、我が国の偉大なる騎士殿だというのに、このような可憐な淑女(レディ)に随分と物騒なことをされているようだね」
「そちらこそ、戦いに横槍を入れるのは些か無粋では？」
「それもそうだが、この身体の持ち主が少年少女に随分御執心のようでね。助太刀させてもらうよ」

右目を瞑り、マシュに対してウインクした男性は再度立ちはだかる太陽の騎士に対し声高々に名を上げた。

「我が名はバッキンガム公爵。彼(か)の誉高きガウェイン卿に挑ませてもらおう」

言った瞬間に彼の手にはレイピアが現れ、地を蹴った。

閑話休題。

どうにかガウェイン卿を退けたが負傷が多く、一度立香達は砂漠に撤退した。

「では改めて自己紹介をしよう。私はバッキンガム公爵、の擬似サーヴァント。この身体の本来の持ち主はルイス・スタインフェルドという未来の我が国の魔術師だ」

にこりと立香とマシュに笑んだ彼は擬似サーヴァントであった。

「バッキンガムさん、助けてくれてありがとう。俺は藤丸立香」
「先輩のデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトです。先程は御助力いただき助かりました。公爵」
「……」

思わず黙った公爵に二人は不思議そうに小首を傾げながら彼の名前を呼ぶ。

「是非ハグと頬擦りを！」
「え」
「……あー、ごほん。失敬、どうやら少々彼の性壁に刺さったようだ。今の発言は忘れてくれたまえ」

一瞬瞳の色が緑から青に変わったことを、立香は気付いたのである。

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キャメロット年末だと聞いて。早くこい年末。