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「安心しろ、姫のことは俺が責任を持って育てるから」
「いやですから」
「あ、悪い。そろそろオンラインの時間だから」
そう言ってレオンは席を立ち退室いたしました。
何をしにきたかったのか、レオンにそう思いますが問いたい相手はもういません。
それよりも余罪がというレオンの発言にまた監視員の目が鋭くなったことに、彼は頭を抱えました。
無実を証明するより有罪の実証を与えている方が多い気がする。
彼はそう思いました。
「三人目の面会だ」
次は誰だと彼は身構えます。
「ルイスさん」
「ルドくん……」
「助けは、御必要ですか?」
現れたのは彼の同僚のルド・フェラーリでした。
朗らかな笑みを浮かべたルドは座ることなくガラスの側に来て、そう話しました。
助けはもちろん必要ですが、どことなくそれは受けない方がいいと思うのは彼の経験則か。
首を横の振った彼に対し、ルドは見惚れるほどの美しい笑みを浮かべたのちに「そうですか」とさして残念そうな表情をすることなく退室していきました。
そして入れ替わるように現れた女性に彼は表情を引き攣らせたのでした。
「しゃ、シャーロットさん」
「やぁルイス。こういう再会の仕方は初めてだな」
綺麗なその顔に青筋を浮かべたシャーロットは真っ直ぐガラスの前に立つと、彼を見下ろしました。
「ガラスに感謝することだなルイス。もしガラスが無ければ私はお前の頭に風穴を開けているかもしれなかった」
「違うのですシャーロットさん! 俺は無罪です!」
「それを決めるのは司法の者だ。だが、そうだな。もし有罪の判決になれば、覚悟しておいた方がいいよルイス。私直々に洗礼を受けさせてやる」
言うだけ言って、シャーロットは彼の言葉を聞く前に部屋を出て行ってしまいました。
彼は頭を抱えて項垂れました。
度々シャーロットの怒りを買っていたけど、ヤードの世話になるようなことは決してなかったのです。
社会的にも風当たりが強くなっては、彼の婚約者でありシャーロットの妹であるリリーに迷惑がかかってしまいます。
「あぁ、夢なら覚めてくれ……」
「うん、これは夢だよ」
「は?」
途端にルイスは目を覚ました。
そこはいつもの自室。
隣にはエリザベスが寝息を立てて眠っている。
「ゆ、め?」
「マスター?」
床を見れば畳の上でルイスを見ているアルトリアが。
「どうかされましたか?」
ルイスが起きたことにより、アルトリアも目が覚めてしまったようです。
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2020年7月12日 2時