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□●君が生きている世界(Fateシリーズ/ウェイバー・ベルベット/ヤンデレ) ページ3

好きだと感じたのはいつだったか、愛しいと想い始めたのはいつ頃からだったか。

「ここは……」

気が付けば見知らぬ場所に私は一人立っていた。

周囲を見渡せば、暗いが所々月明かりのようなものが差し込んでいるため見えるには見える。

どうやらマンションか何か建設途中の建物の構内にいるらしい。

何故このような場所に私が一人いるのか。

少し思考に浸っていれば銃声が聞こえた。

一発ではなく何発もの連続した音である。

急いでそちらの方へ向かえば惨々たる光景に息を飲む。

月光に照らされている廃墟内。

血の海と化しているコンクリートに、生気を感じさせることなく身を沈めている我が師であるケイネス先生と、先生の妻であるソラウ嬢。

そして。

「あなたを絶対赦さない! 衛宮切嗣‼」

泣きながらも憎悪に染まったその表情で、目の前に立つ誰かに向かって怨嗟の叫び声を投げ付けているAが倒れていた。

これはなんだ、何が起きている。

目の前の状況に理解が追いつかない。

何故ケイネス先生とソラウ嬢は彼方で倒れ伏している? 何故Aは見たことがない恐ろしい表情で相手を睨み上げ、呪いとも取れる言葉を吐いている?

何故、Aの眉間に銃口が向けられている?

「ッ逃げろA!」

脳が理解したと同時に彼女向かって駆け寄ろうとした。

だが何故か足はまるで根でも生えたかのように一歩も動かない。

何故だ、何故動かない。

動け、動けよ、Aが危ないんだ、動けッ!

「っ立てA! 立って逃げるんだ!」

必死になって叫ぶ。

だが私の声は二人には届かないのか相手は無慈悲にもその引き金を引いた。

まるで時間がゆっくり過ぎていくようにAが力無く冷たいコンクリートの床へ倒れ伏していく。

「A!」

踏み出せば足は動けた。

慌てて駆け寄り、抱き起こすが彼女は光の宿らない目で虚空を見げている。

彼女からは生気がない、魔力を感じない。

死んでいる。

「Aッ、何故だ! どうしてだ!」

訳がわからない、何がどうしてこうなったのか、わからない。

脳が理解を拒む。

これが夢ならばどれほど良かったか。

「はい、夢ですよ」
「!」

Aの声がした。

向けば変わらず虚な目で上を見上げていたが口だけは動いていた。

「これは夢。ただ何処か別の場所では現実であった出来事」
「A! 生きて」
「羨ましいです。“そちら”の私は兄様を助けられたみたいで」

そう言った彼女は悲しそうに笑った。

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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/  
作成日時:2020年7月12日 2時

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