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「翔太ってわかりやすいよね」
「は? なにが?」
リハーサル中、後輩たちのステージを客席から眺めていれば後ろから涼太がやってきて、缶コーヒーをくれた。
ひと席飛ばして座って、クスッと笑われる。
なに?と眉を細めれば、「だってさ」 と前を向いた。
「Aちゃん、気になってるんだろ?」
「は? そんなんじゃねぇし…」
「見てたらわかるよ。ずっと彼女を目で追ってるし、話してる時はにやにやしてるし」
「おまっ、にやにやしてねぇし!」
威勢を張ってみたけど、俺そんなににやけてんの?
口元を手で隠して涼太から顔を背ける。
「そろそろ良いと思うけどね。 前にも言ったけど、昔の恋を忘れるには新しい恋しかないよ」
「…そもそもだけど、なんでそんなに俺に新しい恋させたいわけ?」
俺らの職業ってアイドルだから、恋愛禁止ではないにしろ恋愛することをすすめられるってのもなんか変な話じゃん。
「それは簡単だよ。翔太に笑っててほしいから」
「………あっそ」
幼なじみ独特の照れ臭さで、涼太の優しさにお礼すら言えない。
「由菜ちゃんのことを無理に忘れろなんて言わないけど、ある程度吹っ切れてるんだろ?」
「まあ、」
「ほぼ毎日一緒にいるんだし、彼女美人だし、気が利くし、優しいし」
「お前が好きになってんじゃん」
「違うよ。グズグズしてたら、彼女の魅力に気づく男が増えるよって忠告だね」
「……でもなあ、」
もし涼太の言う通りに俺が彼女に好意を持ったとしても、またきっとこの恋は叶わないんだよ。
それを涼太は知らないから。
でも心配してくれるこの幼なじみを、俺だって心配かけたくねぇからさ。
「でもなに?」
「いやまあ、ちゃんと考えるから、今はそっとしといて?」
歯切れの悪い言い方に疑問を持ってそうだけど、それ以上は突っ込むなって俺はステージに集中した。
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☆ゆきんこ☆(プロフ) - リナさん» そういう事になりますね!家族で集まったりしたら色々と大変そうですね(笑)彼はハッキリは言わなさそうと思って、ああいう感じになりました( ^_^ ;) (2020年9月10日 10時) (レス) id: 2caaa8d9b9 (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - サクとしょっぴが兄弟になるんですね!!!素敵ー!!プロポーズの仕方がらしいって言うかなんて言うか。きっと彼はバチバチに決めてやらないタイプっぽいですもんねー。 (2020年9月9日 18時) (レス) id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - あべさく担さん» ありがとうございます!ついにと言うか、やっと完結できました(>_<)長い間お付き合い下さりありがとうございました(^^) (2020年9月3日 13時) (レス) id: 2caaa8d9b9 (このIDを非表示/違反報告)
あべさく担 - ついに完結!!!!!!おめでとうございます。先輩シリーズ、大好きでした。お疲れ様でした!(^^) (2020年9月2日 17時) (レス) id: 7ba432eed6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - みるきーさん» 感想ありがとうございます!2人とも幸せにすることができたのも良かったですし、私的に最後の主役4人で語るシーンを書けて満足しております(^^)2人の挙式書く機会がありそうなら書かせてもらいますね!本当にありがとうございました(^^) (2020年8月31日 7時) (レス) id: 7487347ac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年6月2日 0時