同居人は有名人 5 ≪ﾆﾉﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ (ページ5)

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ニノside ページ5

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A『でも、私は多分…先輩を引きずってる。』

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Aの言葉が心臓に響く。

だから？

引きずってるから？

そいつのとこに行きたいって？

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これ以上言わないで。

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『別にいいよ。』

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Aがとまった。
でも今は、顔を見れない。

平気なふりをするので精一杯。

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『俺ね、浮気だったら許せるから。』

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浮気なら許せるから。
本気じゃないって思えるから。

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あんなに聞きたかった話しが、怖い。

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『俺たちはかわんないんでしょ？』

なるべく軽く。

なるべく、なんともないように。

でも、お願いだから。
お願いだから、変わらないって言って。

A『まだ…、全部話してない。聞いて？』

Aが、震える声で言った。

言わないで。

その口から別れの言葉は聞きたくない。

聞きたくない。

『いいよ。許すって！！もうこの話しやめない？』

料理を箸でいじりながら。

ちょっと、声が大きくなった。

もう、聞きたくない。

こえーよ。

A『私、浮気なんてしてない！！』

ビクッとする。

懇願するみたいな声で。
俺に怒鳴る。

きっと、泣いてる。
悲しませたいわけじゃないんだ。

胸が痛んだ。

『わかった。ごめん。』

Aの顔を見る。

目に涙をためて。
拳を握りしめて。

そんなに、必死に。

Aの目から涙がこぼれる。

その涙をぬぐってやりたいけど、
今は触れることすら、ためらわれた。