同居人は有名人 5 ≪ﾆﾉﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ (ページ32)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:983,777 hit

私の知らない先輩ページ32

は？

先輩が私を？

そんな…

『そんなわけない！！か、勘違いです！！』

明日香さんは私の目を見て、ゆっくり首を横にふった。

明『私と付き合いはじめたら、公園に行くのをやめると思ってたんです。でも、彼は通い続けた』

『それは！先輩は私が悩んでると思ってたから…だから、先輩として…』

明『彼もそう言ってました。だから私はそれ以上追求しなかった。』

先輩に聞いてたんだ…

明日香さんが笑う。
静かに、さみしそうに。

明『付き合ってはじめてのバレンタインデーの前の日。言われました。』

バレンタインデー…
あの日の前の日…

二人がケンカした日？

明『好きな人ができた、別れて欲しい。って。』

『え？』

な…に？

なんて…？

明『あなたです。あなたのこと。』

どくん。

どくん。

頭が真っ白になって。

でも、先輩はそんなこと言わなかった。

言わなかったよ…？

明『一緒にいて、自然でいられるって。もう、ずっと前から考えてたって…』

明日香さんが、少し涙ぐむ。

優しい目には涙がたまって、その話しが本当である事が真実味をおびる。

明『私は、拒否しました。泣きついて、嫌だって。そうすれば、彼がそれ以上何も言えないのはわかっていたから…。』

どくん

どくん。

じゃああの日の朝、先輩が泣いていたのは？

私と繋がった時に流した涙は…どんな意味だったの？

スカートをにぎった手から力が抜ける。

『そんな、わけないです…』

私の知らない、

私の気づかなかった先輩の気持ち…

視界がぼやける。

おさえきれなかった涙があふれた。