近くもなく遠くもない距離 ページ31
明『あの日は偶然でした。たまたま部活の試合で、いつもよりだいぶ早く家を出たんです。』
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明日香 回想
いつも通りの道を通って、
いつも通り、公園の前を通った。
ふと、目にとまった光景。
あいつと知らない女の子がいて。
あいつが笑ってる。
女の子が、少し頬をそめた 。
近くも、遠くもない距離に座ってて。
行かなきゃいけないのに、足に根っこが生えたみたいに動けなくて。
目が離せなくて。
すごく…
.
.
嫉妬した。
.
.
あいつの隣は、いつも私がいて。
あいつはいつも、私だけを見てた。
そんなこと気がついてた。
でも、気がつかないふりをし続けた。
あいつはそれでも…私を見てたはずなのに…
急に、怖くなった。あいつのいない日々が。
.
.
.
それからしばらくしないうちに、私は告白した。
まだ…あいつが本当の気持ちに気がついていないうちに。
.
.
.
この感情は、恋や愛なんかじゃなかった。
ただの独占欲。
少なくとも、
この時はまだ
私のなかでは幼馴染以上じゃなかったのに。
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明『私は…あなたが怖かった。』
明日香さんが、私をじっと見て言った。
何を言ってるの？
こわい？私が？
『何を言ってるんですか…？』
わからなくて。
理解できなくて。
明日香さんにそのまま聞いた。
.
.
.
あすかさんは、眉間にしわをよせて。
苦しそうに。
さみしそうに、
言った。
.
.
.
明『彼はあなたに惹かれはじめてた。』
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作者名：空音
| 作成日時：2011年8月3日 22時
