同居人は有名人 5 ≪ﾆﾉﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ (ページ23)

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知ってた… ページ23

ただ走って、走って。

心臓が痛いくらいになってて。

いつのまにか電話もきれてて。

公園からだいぶ離れたところで、やっと止まる。

はじめて、先輩の横にいないあの人をみた。
いつも、先輩の横で幸せそうに笑っていたのに。
いつも、それが羨ましくて。

見ないようにしてた。

先輩の口からも、あの人の話しを聞いたことはあまりなくて。
私も聞かないようにしてたから。

息切れがまだ落ち着かない。

今更。
今更あの人がリアルに感じた。

また、はるかに電話する。

ーー…もしもし？！大丈夫！？

『うん。ごめんね。全力で逃げちゃった…』

ーー…もう、その公園に行くのやめな。

『…、うん。』

ーー…大丈夫？

『あの人、私の名前呼んだの。』

ーー…え？

『私は一方的に顔を知ってたじゃない？名前は知らないけど。でも、あの人私の顔をみて名前を呼んだの。あの人私を知ってる。』

ーー…先輩が言ってたんじゃない？

先輩が？なんて？

ーー…とにかく！このまま帰って寝なさい！
で、公園には行かないの。ね？

『うん。わかった。またなんかあったら連絡する。ごめんね？ありがとう。』

電話を切って、帰ろうとするんだけど。

マンションは公園に近いから。。。

あの人が追ってきてたら？
帰ってる間に、また出くわしたら？

怖くなって、私はマンションとは逆方向に歩き出した。